DESIGNER:SHUTING QIU

シルクの生産地で育った、類いまれなミックスマッチの才能

今モード界で最も注目を集めている中国人若手デザイナーはシューティン・チウだろう。アントワープのロイヤル・アカデミー・オブ・ファイン・アーツを卒業し、H&Mデザイン・アワード2020のファイナリストにも選ばれた。ミラノファッションウィークの招待で、2020年春夏公式スケジュールで発表していたが、上海ファッションウィーク中に開催されている、若手デザイナーのプラットフォーム「レーベルフッド」での印象は強烈だった。ランウェイの中央に作られた花畑、その色彩は闊歩するモデルへとつながり、フローラル、チェック、ストライプ、カラフルなプリントとジャカードの織り模様が目に飛び込んでくる。彼女が得意とするパネリングが、ボックスシルエットのテーラリングやアシンメトリーのドレスの上で繰り広げられたショーは、古今東西の要素をかけ合わせており、中洋折衷を物語っていた。素材への愛情の原点は、彼女が生まれ育った環境にある。

「私の育った杭州はシルク博物館があるほどのシルクの生産地で、中国ジャカードで有名。昔ながらの機械でどのように作られているかも熟知しています。コレクションでシルクやジャカードを使うことが多い理由は、その愛着にあるのかも」。そんな彼女がクリエーションで大切だというのが“プロセス”だ。中でもデザイン画に色やプリントをのせる瞬間は毎回感動すると言う。「南米やアフリカの文化に興味がある。現地の人がどのような着こなしをしているのかこの目で見てみたい」。もっと旅をして、より多くの文化を学び理解すること、実際にいろいろな国の民族衣装を見ることで、クリエーションに落とし込みたいと、ファッションデザイナーとしての近々の目標を語った。

12 柄のミックスやタータンチェックのコンビ、素材をかけ合わせるだけでなくアプリケを重ねて装飾。スリーブレスジャケット¥221,900・ジャケット¥260,900
3 アントワープの卒業コレクションの一体
4 たっぷりとした布感やリボン使いが軽やかなシャツ¥165,000(価格はすべてFarfetch.com参照)
5 ヘッドピースなどのアクセサリーもユニーク

©Shuting Qiu
Shuting Qiu/シューティン・チウ
中国の杭州出身。ロイヤル・アカデミー・オブ・ファイン・アーツ・アントワープを卒業後、2017年に自身のブランドを設立。2019年にはVfilesランウェイ10を勝ち取り、NYFWデビューも果たした。

Q ファッションに目覚めたのはいつ?
A たぶん10歳くらい

Q 初めてデザインしたアイテムは?
A アントワープの1年生だった19歳のときにキャラコで作った実験的なスカート

Q どんな幼少時代だった?
A 非現実的な考えにかられることが多かった

Q 着想源はどこから?
A 自分の日々の生活から

Q 尊敬するデザイナーは誰?
A アントワープの恩師であるウォルター・ヴァン・ベイレンドンク

Q 最新コレクションのコンセプトは?
A ジャニス・ジョプリンとアーティスト、マルレーネ・デュマス

Q 一番使うアプリは?
A 「WeChat」

Q ミューズは?
A ピナ・バウシュ

Q 好きな映画は?
A 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(’01)

Q 好きは本は?
A 『星の王子さま』

Q 好きな音楽は?
A ジェーン・バーキンの「Strange Melody」

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