DESIGNER:SUSAN FANG/NOUS ETUDIONS/SMILE CLUB CUSTOM

絡み合うテキスタイルとガラス玉がつくる幻想

白い布で覆われた床に何げなく撒かれた花、ドリーミーな世界に包まれたショースペースは、スーザン・ファンの頭の中に迷い込むよう。2019年春夏の上海ファッションウィークで異彩を放ち、話題をさらった彼女。独特の立体感のある方法で細く裂いた布を編み上げる手法は、セントラル・セント・マーチンズの卒業コレクションから使っている得意技だ。淡いフローラルが絡み合い、排他的な薫りも漂わせる。もうひとつのシグネチャーが大小さまざまなガラスビーズを組み合わせたアクセサリーで、幻想的なムード。「当初はクリスタルを探していましたが、ここまでの透明感があるものはなくガラスにたどり着いたんです」。2020年春夏はミラノに招待され、公式日程でコレクションを披露。さらに、LVMHプライズ2019のショートリストにも選ばれ一躍注目の的に。コンテンポラリーダンスで演出したプレゼンテーションやチベットで撮ったビジュアルなど、アーティスティックなアプローチも魅力だ。

1 オーガンザの層の間で羽根が花柄をつくり出す
2 人気急上昇中のガラスバッグはなんと、スーザンの母親や叔母などが作っている
34 玉樹チベット族自治州で撮ったビジュアル

©Susan Fang

Susan Fang/スーザン・ファン
1992年、中国出身。セントラル・セント・マーチンズでテキスタイルを学び、2017年に自身のブランドを設立。ロンドンのブラウンズなどで取り扱われている。

Q ファッションに目覚めたのはいつ?
A 6歳の頃、私の描いている女の子が毎日違う服を着ているのを見て、母から「ファッションデザイナーになれるね」と言われて以来、心の中にずっとあった

Q クリエーションで大切にしていることは?
A 感情。自分を強く動かすエモーショナルな何かはほかの人にも伝わると思う

Q 1時間あったら何をする?
A 家族みんなでテレビを見ようかな

南米大陸初のLVMHプライズショートリスト入り

「実は母もデザイナーで手伝っているうちにファッションに興味を持つようになったんです」。そう語るのは、アルゼンチンのブエノスアイレスを拠点にする「ヌース エトゥディオンズ」のデザイナー、ロミーナ。南米から初めてLVMHプライズ2020の準決勝であるショートリストに選ばれた、サステイナビリティに力を入れているブランドだ。「初めて作ったテーラードジャケットのことをよく覚えています。22歳の頃、のちにチームのメンバーになった街一番のテーラーと一緒に作ったの」。クリエーションで重要なのは、「テクスチャーと色」と断言するだけあり、艶のあるレザー風の素材を編み込んだような立体的な表面加工(58)が彼女のシグネチャーだ。「1回目のサンプルが届くときはいつもドキドキしている。でもその仕上がりを見るときは、ファッションの仕事をしていて本当によかったと思う瞬間でもあります」。再生素材に力を入れている彼女の夢は、自身のバイオ素材ラボを持つことだ。

58 立体的な加工が施されたリサイクル素材のガーメントは「ナイキ」とのコラボ
6 スペインで発表した“ペーパー”コレクション
7 レーザーカットでテクスチャーを加えている

©Nous Etudions

Romina Cardillo/ロミーナ・カルディーロ
ブエノスアイレス出身。テキスタイルを家業としており、大学でファッションを学んだのち、自身も携わるように。アルゼンチンで初のビーガンメンズブランドも立ち上げる。  

Q 尊敬するデザイナーは誰?
A コンセプトやブランドの立ち位置は川久保玲やラフ・シモンズ、J・W・アンダーソン、そしてマルジェラだけど、フィロソフィーや価値観はステラ・マッカートニー

Q 次の旅行で行きたいところは?
A 日本! 未来的な建物と自然の関係性にすごく惹かれる

Q 好きな音楽は?
A 音楽はすごく重要で着想源。レディオヘッドやビョークをよく聴く。彼女は私のミューズ

美容師が手がけるタイ発のスーベニール・モード

体中にタトゥーが入ったイカツイ男がやってきた。話してみると実に礼儀正しく、好印象。実は彼が今タイのおしゃれな若者たちがこぞって通う、ヘアサロン「スマイル クラブ」を手がけるサニーだ。そしてそのオリジナルコレクションが話題を集めている。10代半ばでビーチで知られるパタヤに移ったサニー。そこで出会ったのがべスパ愛好者で結成される“ベスパギャング”だった。「バイクの改造に明け暮れていた頃に、カスタマイズしたミリタリーコートを作ったんだ。多分それが初めて作ったファッションアイテム」。バンコクに移り、次第にクリエーションの対象はヘアに移り変わる。5年前に「スマイル クラブ」を開店し、3年前にウェアのラインである「スマイル クラブ カスタム」をローンチした。「ファッションは大好きだけど、スピードが速くて物質主義的すぎる。スマイル クラブ カスタムのコンセプトは“お土産”。お店に来たお客さんが楽しい思い出として買って帰ってくれたらいいと思っているよ」

9 パッチワークのセットアップ
10 髪型写真を使ったTシャツ THB1,290
11 ピエロ風のスニーカー THB4,500
12 レザーのバッグは包装と同じデザイン

©Smile Club Custom

Metat“Sunny”Thepnual/メタット“サニー”テプニュアル 
タイのペッチャブーン出身。22歳頃から美容師に。5年前にセレブとしても人気のあるトニー・ラッカエンと共に「スマイル  クラブ」を立ち上げ、現在バンコクに4店舗を展開。

Q 着想源はどこから?
A タイのカルチャーやヴィンテージデザイン、そして本業のヘアから

Q クリエーションで大切にしていることは?
A トロピカルなムード

Q デザイナーとして直近の目標は?
A 週末夜市「トレインマーケット」に、タトゥーと「スマイル クラブ カスタム」に特化した店舗をオープンしたばかりなので、そこに集中したい

Q 好きな音楽は?
A レゲエ

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