【NEW CHALLENGER】ファッション界の新しい挑戦者たち

Chopova Lowena

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ブルガリア系アメリカ人のエマ・チョポヴァとイギリス人ローラ・ロウェナによるデュオ。セントラル・セントマーチンズ美術大学(CSM)在学中に出会い、2018年にレーベルをスタート。LVMHプライズ2020のファイナリストに選出。

フォークロアなパンクチュールの追求

LVMHプライズ2020のファイナリストの中で最も注目を集めていたのが、ブルガリア系のエマ・チョポヴァとイギリス人ローラ・ロウェナによる「チョポヴァ・ロウェナ」だ。シグネチャーとも言えるパンキッシュなプリーツスカートに、世界中のファッショニスタが熱狂していることでも知られる存在だ。
「’20-’21年秋冬のインスピレーションソースはオランダの伝統的衣装と90年代のスノーボーディング。私たちは新しいクリエーションを生み出す際、常に相反するふたつのテーマを取り上げます」
彼女たちにとって最も重要なテーマが“伝統” で、そのリスペクトがデザイナーふたりを結びつけている。「伝統とは、長い年月の中で守り続けられた儀式的な慣習としても、一個人のヘリテージとしても意義深いもの。ファッションにおけるラグジュアリーとは、技術や工芸などを裏づける“時間”にあると信じているの」
伝統とともにブランドの大きな位置を占めているのがサステイナビリティだ。アップサイクリングや素材の再利用は特に重要で、そこにファッションの未来を見いだしていると言う。
「今は大変なときだからこそ、ファッションは現実逃避の場を与えてくれるし、人々には自己肯定することが必要だと思う。ドレスアップがポジティブになれることを伝えていきたい」

Private Policy

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パーソンズを卒業したハオラン・リーとシーイン・チュウが2016年春夏コレクションから立ち上げた。毎回さまざまな社会問題を解釈し、ファッションに反映させている。ジェンダーレスでストリート感のあるスタイルが得意。

「議論できる服」で世界を変えたい

ファッションは単に美しいものを提示するだけではなく、人々が見落としがちな問題に目を向ける機会となる媒体であるべき。プライベート・ポリシーのハオランとシーインはそう考える。毎回のショーでひとつ社会問題のトピックを選び、それについての新聞をリリース代わりに配布している。今季は「Get Well Soon」と題し、米国の医薬品に焦点を当てた。「薬品会社と保険会社の利益を追求するあまり、研究に正しくお金が使われていないと言われています。薬には不当に高い値づけがされ、患者の命がマーケティングの犠牲になってしまっている」と語る。コレクションでは白衣やゴムグローブ、手術着など医療の作業服の要素をストリート感のあるスタイルに溶け込ませた。注射器から逃げる熊のキャラを取り入れたりと、ユーモアもひとさじ。「医療なんて関係ないと思っている若い世代が、議論するきっかけになれば」。ショーを開催した2カ月後、世界は新型コロナウイルス禍のまっただ中にいる。「私たちは政治的に重要なことを決断する大きな力は持ち合わせていないけど、ニュースキャスターのように、人々に気づきを与え、行動を促すことができる。その行動はGoogleで検索するような小さな変容かもしれないけれど、それらが集まったとき、大きな力となって世の中を変えていけると信じています」

Duran Lantink

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オランダ出身。2018年にR&Bシンガー、ジャネール・モネイの楽曲「ピンク」MVのために作ったパンツが注目を集める。LVMHプライズ2019のセミファイナリストで、ハイブランドをアップサイクルしたコレクションが話題に。

サステイナブルアナーキストが見る未来

昨年2019年のLVMHプライズのショートリストに選ばれた注目株! 他デザイナーのアイテムを切り貼りした、ユニークなコレクションで注目を集める。ファストファッションブランドのアイテムを再構築し、生産地での労働時間の搾取への問題提起を行うなど、サステイナブルなアナーキストでもある。
最新’20年秋冬はLAのセレクトショップ「H・ロレンツォ」との新しい形のコラボ。「このアイデアはコム デ ギャルソン、リック・オウエンス、Yプロジェクトなど、セレクトショップが持っていたコレクションのデッドストックを使うというもの」
そんな彼はファッションの新しい姿を模索している。
「昨今多くの人がファッションがいかに環境に悪いかについて意識している。僕はずっと新しいものを作り出すのに“残り物”を使ってきた。それは、両親の服を切り刻んで自分の服を作っていた幼い頃から。このスタイルが自分にとっての正しい未来だと思う。ファッションを今再びポジティブなものにしたいんだ」
ファッションのシステム以外に、彼が作る服自体も“ポジティブ”がキーワードだ。「自分の中でNo.1ルールは、楽しくあるということ。シリアスだったり憂鬱なものなんて誰も欲しくないでしょう? だからみんなが喜ぶようなひねりをメッセージに込めたい」

Richard Malone

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アイルランド出身。2014年にCSM卒業。卒コレすべてをダブリンのデパート、ブラウン・トマスが購入。コンテンポラリーダンスを取り入れたプレゼンでロンドンコレクションデビュー。’17年にはMoMAのコミッションで作品を制作。

モードの環境意識を変える気鋭デザイナー

インターナショナル・ウールマーク・プライズ最優秀賞を先日受賞した注目株リチャード・マローンは、クリエイティビティでサステイナブルな動きに新しい息吹を吹き込んでいる。「最新の“14.02.20”コレクションは過去の作品の進化系。素材の開発から、カッティングやフィッティング、ドレープまで、いつもと同じように自分の“手”を使って製作しています。今回は特にテーラリングに力を入れました。レザーを使うのは初めてですが、廃棄処分する素材を採用。パッチワークのドレープドレスは過去作品の端切れを使用し、ショーのフィナーレを飾った構築的なピースは、廃棄漁業網からリサイクルされたエコニール®のジャージで。時代に合わないのでシーズンでコレクションを考えるのはやめたんです。テキスタイル作りや、デッサン、映像など自分の服作りにはもっと多様性ある表現方法が合うと思う」
自分の衝動や感情に基づいて服作りをするリチャード。現行のドレスコードを変えることに対して妥協はしないと話す。そんな彼は今のファッションに変革を求める。
「産業について、再考と再教育の時がきている。もうお金やステイタスのためだけに欲のままに働く時代ではない。そしてファッションは大量消費の象徴でなくなるべきだと考えています」

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