オンラインショッピング上手として業界内でも有名な丸山佑香さん。日本ではまだネットでしか買えないニッチなブランドを、ひたすら"ポチる"一日を追う!
気になるブランドを一気にチェック!
モード誌、広告、カタログなど多方面で活躍。ハンドメイドのアクセサリーブランド「TON」のディレクターも務める。SPURのお買い物企画の常連。湧き続けるクリエイティブなアイデアの泉に業界からの信頼も厚い。
1. まずはビジュアルがおしゃれかチェック
SNSやHPのビジュアルが可愛いのが第一条件。物を買うというのは、そのセンスごと買うということ!
2. コミュニティを隅々までリサーチ
デザイナーの人物像や、そのブランドをタグづけしている人を確認。おしゃれな人の愛用品に間違いはありません
3. アルゴリズムを最大限活用
気になるキーワードは積極的に検索し滞在時間を延ばす。するとSNSや広告に好みのアイテムが表示されるように
4. 狙うのはオーバーサイズ
ジャストサイズをネットで購入するのは至難の業。大きめに着て可愛いアイテムなら試着なしでも大丈夫!
5. 近所にポチりフレンズを作る
趣味が似ている友達がいると、客観的な意見を聞けるのでおすすめ。一緒に買えば送料の節約にもなる
最近の購入品
ムートンコートはCawley Studio(本誌p.111で紹介)のもの。「この色は日本展開がなく思い切って購入。リバーシブルで着用可」。ずっと探していたスエードのボックスバッグはEllemeで発見。「個性がある可愛さとほどほどな価格が決め手に」。フラワーモチーフ好きの丸山さんは、Mr. Larkinでビーズバッグ、DOSAN atelierでアディダスのリメイクスニーカーを購入。「ほかになさそうなデザインはすぐにポチります」。JUMIAではチェッカーフラッグのティッシュケースを。「茶色と2色買い」
Relax Lacrosse Brand(New York)
丸山さんがまずチェックしたのは、Relax Lacrosse Brand。老若男女のためのラクロスショーツをメインに、パンツやTシャツを展開。東海岸にあるスクールチームのヴィンテージユニフォームがデザインのベースになっている。「トラックパンツがすごく欲しくて、探していたらたどりついたブランド。サイトの写真も着ている子も可愛い! 女の子が素敵にはけるデザインはなかなかないのですが、ここは配色が絶妙です」
「左のパンツはありそうでないラインの色みに惹かれました。上の写真のように甘いトップスと合わせたい!」。素材のミラクルメッシュは、穴が完全に空いていない仕様で冬も快適。
MÄRCHEN(Shanghai)
「ビジュアル作りのセンスが抜群。盛り込みすぎず、そぎ落としすぎず、今の空気を反映したスタイリングになっています。写真があまりに完璧だとかえって購入に至らないけれど、このブランドはほどよく親近感があって自分ごとに落とし込めると買いたくなる。それぞれのアイテムはベーシックなのに、スタイリングでさらに素敵に見せているところもお見事」。デザイナーはセント・マーチンズでテキスタイルを学んだチェン・メイ。2016年に上海ファッションウィークでデビューした。
「このブランドはルックを丸ごと買いたいぐらい。今のムードをくみ取るのが上手です」(写真左・中)。光沢感が美しい90年代風のスカート(写真上)。サイドにはブランドを象徴するリボンを飾った。
FIDAN NOVRUZOVA(Paris & Chișinǎu)
アゼルバイジャン出身のFIDAN NOVRUZOVAが2020年に設立。幾何学的なシルエットと優雅なドレープを融合させた、レトロフューチャリスティックなデザインが特徴。「LVMHプライズ 2024」ではセミファイナリストに選出され、注目度が年々上がっている。「このブランドは昔からチェックしていて、ストライプラインがリボン状になったトラックパンツをすでにポチっています。最近はどんどんアイテムのラインナップも増え、変化を追っていくのも楽しい!」
「何枚も所有するほどポロシャツが好き。でも写真右や上のようなスタイルは持っていないのでポチります!」。同じ柄のレオタードとトップスを重ねユニークなシルエットに。
AZI Land(Moscow)
「世界観がとてもロマンティックで、リボンや花柄など細部のエッセンスが好み。ビジュアルそのままのムードでは着ない人にも、自分の着こなしに落とし込む余白がちゃんと用意されています。このギンガムチェックのジャケットは、あえてカーゴパンツと合わせたい!」。シルクロードの文化から着想を得て、伝統的なシルエットやディテールを取り入れている。スローファッションが理念にあり、美しく経年変化する生地を地元の職人が丁寧に仕立てる。
「少し前からメンズにギンガムチェックのアイテムが増えてきて、気になっていたんです。色に迷ったときはもちろん2色買い」。プレミアムコットン100%で、通気性がよく軽やかな着心地。
doublesoul(New York)
「主役になる靴下を見つけるのは本当に難しい。その点doublesoulはデザイン性はもちろんのこと、靴とのバランスまで考えられています。だからこそビジュアルの見せ方も上手!」。リサイクル素材と地球にやさしい染料を使いエコフレンドリーな生産をしている。甲側は通気性がよく、足裏側は二重クッション仕様なため快適で長持ち。日本ではSSENSEで購入可能。丸山さんもお気に入りを見つけ、今日のショッピングはこれにて!
「発色が好きです。日本にはこの鮮やかさ、なかなかないですよね」。ストレッチ性のあるオーガニックコットンとリサイクルナイロンの混合素材を採用。
高い情報収集能力と、狙ったアイテムを確実に手に入れる買い物力に定評がある丸山さん。本日の密着でも世界中のサイトをサーフィンしながら次々購入していった。日頃からSNSなどをチェックして流行をリサーチしていて、好みのブランドを見つけたときは、「商品だけでなく、センスとムードも購入する」つもりでポチる。「アイテムそのものはもちろん、ビジュアルやブランディングなども見ます。細部までしっかり考えている人に対してはちゃんと対価を払う。ECショッピングは、自分と近い趣味を持つ作り手への応援でもあるんです」