お城巡りは私の趣味の一つです。ドイツのバイエルン地方でノイシュバンシュタイン城をはじめ、ルードヴィヒ2世が建てたお城を回るロードトリップをしたのは、去年の夏のこと。
今回は7月の革命記念日の連休を利用して、ポルトガルへ。リスボンから車で約45分、かつては詩人バイロンが“エデンの園”と称し、ユネスコの世界遺産に指定されている古い街、シントラに到着です。
まずは街の要、元々ムーア人の館だった建物を、14世紀にこの地を征服した初代ポルトガル王が改装したというシントラ国立宮殿(Palácio Nacional da Sintra)へ。意外にぱっとしない外観にややがっかりしたものの、一歩中に入るとイスラム様式の透かし模様の窓や、アズレージョと呼ばれるポルトガル特有のタイルのミックスに圧倒されました。
ここからはトゥクトゥクに乗り、万里の長城ならぬムーアの城壁(Castelo dos Mouros)へ。8〜9世紀にムーア人がつくったこの城壁は今では廃墟。あじさいの花や巨大なアロエを背景に、まるでスカルプチャーのような岩が続く自然を左手に見つつ、壁づたいに延々と歩きます。すると、丘の頂上からは街全体を見渡す絶景が!
次なる目的地は、ムーアの城壁から徒歩15分、19世紀に建てられたペーナ宮殿(Palácio Nacional da Pena)。ちょっとキッチュではありますが、イスラム、ゴシック、ルネッサンス 、マヌエル、ロマン….多数の様式が不思議に混ざり合った建築は、異なる時代や様々な国々を一瞬のうちに横断したかのような錯覚を与えます。
ホテルのティヴォリ・パラシオ・デ・セテアイスのテラスで軽くランチをとったあとは、ちょっと足をのばしてモンセラーテ宮殿(Palácio de Monserrate)へ。19世紀にイギリスの大富豪フランシス・クックがインドのムガル建築を模倣してつくらせたという館は、まるでミニ・マハラジャ。世界中の植物が集められた公園も見物でした。
そして、ハイライトは、20世紀前半に資産家がつくらせたレガレイラ宮殿(Palácio da Regaleira)。まるでテーマパークのような摩訶不思議なコンプレックスです。4ヘクタールに渡る敷地内には、12世紀にロイヤルファミリーの別邸だった宮殿をはじめ、井戸、噴水、庭園、洞窟、石づくりの塔などが点在します。地図を片手にレガレイラのすべての“アトラクション“を網羅すると、シントラお城マラソンは終了!各モニュメントが閉館する頃には、車でリスボンへと向かったのでした。
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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