ポルトガル・リスボンからちょこっと遠征。 コンポルタとエヴォラ

先週はリスボンすぐ東、古城が並び建つシントラへとご案内しましたが、今回はリスボン経由でワイルドな自然の南へ!

リスボンは2年前に来た時に精力的に観光したので、今回は街の要所はさくっとおさえ、アズレージョ博物館で有名な東部の郊外、ベアトへ。友人夫妻、Tomas ColaçoSofia Aguiarを訪ねるためです。二人は共に、ポルトガル人の画家。トマシュは動物や風景を詩的なタッチで、一方ソフィアは昆虫や18世紀の陶器をリアルな画筆ながらオーバーサイズで描きます。彼らのアトリエ兼夏の住まいは巨大な倉庫。広々としたダイニング&リビングルームにはアンティークの家具や食器がひしめきあい、奥のそれぞれの仕事場にはパレットやら描きかけのキャンバスやらが雑然と。ちょっと荒廃したムードが逆にチャーミングな庭には、なんとにわとり、犬、猫が仲良く暮らし、まるでブレーメンの音楽隊!

こうしてリスボンで2日間過ごした後は、ローカル電車に1時間程ゆられ、Grândola下車。友人のエヴリンとクロード夫妻の家、Les Terrasses de Comportaにむかいます。彼らがここに数ヘクタールの土地を購入し、ポルトガル人の建築家、Manuel Aires Mateusを起用して家を建てたのは、2年前。オリーブやレモンの木、サボテンなどが生い茂る自然に囲まれ、起伏がある敷地内には三角形のプール、メインの家と二人用の家3軒があり、ちょっとしたリゾートハウス。アンティークのオブジェとコンテンポラリーデザインの家具をミックスしたインテリアも素敵です。ハイシーズン前後は友人たちを招いて彼ら自身もここで過ごしていますが、8月は家を丸ごと貸しているので、興味のある方はぜひサイトをチェックしてみて下さい。

グランドラから車で15分ほど、この一帯の中心地であるコンポルタには、最近フィリップ・スタルク、クリスチャン・ルブタンなどファッションやデザイン界のフランス人が続々と家を購入。それに際しておしゃれなショップやレストランもオープンし、ポルトガルのリヴィエラ、と呼ばれています。中でも人気スポットは、ホテルSublime Comporta。エヴリンの友人、ここのPRをしているテレザの案内で、この日はホテル内のCeleiro Restaurantで、モダン・バーベキュー!炭火でまろやかに焼きあげた黒豚やはまぐり、かぶなど地元の特産物に、ローカルワインのヴィノ・ヴェルデで、ポルトガルのフーディングはクライマックスに。コンポルタ名物?の蚊の大群も忘れさせてくれるほどのベスト・ディナーでした。

また滞在中にエヴリンが連れて行ってくれたのは、グランドラからさらに車で1時間15分ほど走ったEvoraという古都。紀元前は旧ローマ帝国の領土だったという歴史を証すべく、ローマ風神殿の遺跡があるので有名な学園都市です。シントラと同じくムーア人支配下の時代もあったことから、ここにはアラブからロマネスクまでいろいろなスタイルがミックスされた建物が点在しています。最も美しいのは、アズレージョ装飾がみごとなチャペルを併設した、14世紀のPalácio dos Duques de Cadaval(カダヴァル公爵邸)。そしてびっくり大賞はサンフランシスコ教会隣接、16世紀建造のCapela dos Ossos。骨のチャペルというその名の通り、壁一面が人間の頭蓋骨や骨で覆われているのです!ラテン語での“あなたの骨を待ってます”という記述に、外の猛暑も忘れてひやっとした一瞬でした。

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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