9月第一週目のパリは、数々の展覧会オープニングで活気づいています。まずは、ヴァン クリーフ&アーペルの、『L’Arche de Noé, racontée par Van Cleef & Arpels(ノアの箱船)』展。このハイジュエリー・コレクションは、旧約聖書「創世記」で語られる箱船伝説にちなんで、昆虫や鳥を含むつがいの動物たちがモチーフ。“光なしには闇は存在しない。逆もしかり”と語り、自ら慎重に石を選んで約60点のクリップ(ブローチ)をデザイン、そして会場の演出をしたのは、舞台演出家のロバート・ウィルソンです。こちらの展覧会はヴァンドーム広場、オテル・リッツの隣に位置するHôtel d’Évreuxにて、9/26まで。
また、アズディン・アライアのブティック併設のギャラリーでは、クロード・パランのドローイング展『Claude Parent/ Dessiner la Mode』が開催中。ファッション・イラストレーターとしてスタートしつつ、建築家としてのキャリアを築いて今年2月に他界したパランは、友人アライアのモードにインスパイアされて、インクで描いた数々のドローイングを遺しました。こちらはマレ地区のGalerie Azzedine Alaïaにて、9月25日まで。
一方、『AD』 (Architectural Digest) 誌が建築家や内装家に特別なインスタレーションの機会を与える、毎年9月恒例のインスタレーション『Les univers de collectionneurs à l'honneur de AD Intérieurs 2016』は、今年10周年。今回は “コレクターの世界”を課題に、14人のデコレーターが珍しいオブジェやアート作品を、仮設の内装に配置しました。私のいちばんのお気に入りは、ドリス・ヴァン・ノッテンのブティックの内装でも知られる、ヘールト・フォーヤンス(Gert Voorjans)。“チベットからヴェニス、そしてパリへ”というタイトルの通り、彼は特異のセンスで世界各地からの、また異なる時代からのオブジェや家具をミックスしてみせました。そしてオイトエムポント(Oitoemponto) はミニマルな空間に、ジェムストーンをはめこんだシルバーの動物オブジェ43点を配置。これらは前世紀後半に活躍したシルバースミス、ポルトガルのルイス・フェレイラによる、1960〜’70年代の作品だとか。こちらの展覧会はフランス造幣局にて、9/18まで。
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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