パリ・ファッションウイーク中の10月3日、アルベール・エルバス (Alber Elbaz)に、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章が贈られました。14年間もランバンのアーティスティック・ディレクターとして皆に愛されてきた彼がメゾンを去ったのは、ちょうど１年前。他メゾン就任か？との噂をよそにまだ充電中のアルベールは、退任後もたくさんのモード関係者やセレブ顧客たちからの支持を受けています。当日も、この光栄たる機会を祝おうと、文化通信省のサロンにはアナ・ウィンターをはじめ、デミ・ムーアやクリスティン・スコット・トーマスなど、そうそうたる顔ぶれが集まりました。
授賞式は、まずオードレ・アズレ文化通信大臣のスピーチから。彼女が「モロッコの質素な家庭に生まれ、イスラエルでモードを学び、一文無しでアメリカに渡ってジェフリー・ビーンでキャリアをスタートし、その後ギ・ラロッシュ、イヴ・サンローランを経て……」と、アルベールの経歴をかいつまんで語ると、横でアルベールは感慨深い表情になったり、微笑んでうなずいたり。そして彼女がランバンでのアルベール退任劇を「ラブ・ストーリーは悪い結果に終わることもありますね」とまとめると、アルベールを筆頭に全員が爆笑。そして大臣からのお祝いのキスを受け、勲章がアルベールの胸に輝くと、今度は彼自身がマイクをとりました。「なんて素敵なフロントロウ！ ファッションウィーク中に皆さんにお集り頂いたのに、ドレスを発表しないのは変な感じですが……」と、彼の言葉もユーモアたっぷり。「ランバンでは、素晴らしいオーケストラ（チーム）の指揮をとることができました。またいつか彼らと共に仕事ができますように！」「今でもファッションが大好き。I miss fashion」という一連の彼の言葉から、近いうちにアルベールがモード界にカムバックするかも？という期待が高まります。
また、この機会にアルベール・エルバスは、フレデリック・マル（Frédéric Malle）とフレグランスを作ったと言うニュースを自ら発表しました。フレデリック・マルは、毎回異なる調香師やクリエイターとのコラボレーションで香りを練る、フレグランスの“編集者”。このニュースに沸き立つゲストたち全員には、授章式の帰り際、フレグランスのサンプルが贈られました。添えられていたのは、アルベールの心温まるメッセージ。「女性たちへ愛をこめて、香りというドレスを贈りましょう。多くのことが計画に基づくこの世界にも、いまだに偶然、出会い、驚き、そして迷信は存在します。残り香としてのパルファン。それは女性たちのエッセンス、彼女たちの笑い、涙、自由、そして強さなのです」。きりっとしながらも、限りなくフェミニンな花束の香り「Superstitious」は、来年３月にローンチ予定だとか。
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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