若手デザイナーが盛りだくさん! デムナの出身地、ジョージアへ! '17年秋冬MBファッション・ウィーク・ハイライト

ジョージア(旧称グルジア)の首都トビリシは、ヴェトモンのデムナ・グヴァサリアがバレンシアガに抜擢されて以来、彼の出身地としてファッション指数が急上昇。メルセデス・ベンツ(MB)ファッション・ウィーク・トビリシ(Mercedes-Benz Fashion Week Tbilisi)には、クリエイティブ・ディレクター、ソフィア・チェコニア(Sofia Tchkonia)がサポートする42の若手ブランドが集められています。

5月初旬、パリからイスタンブール経由でトビリシに到着すると、しばらく会っていなかった友人、ルイザ・オルシニ(Luisa Orsini)とアントニー・ ペデュッチ(Antonine Peduzzi)に再会。以前本誌のスタイル・ルポでも紹介した、ローマのバッグデザイナー・デュオです。ルイザの母がジョージア出身なため、彼女たちは自身のブランドTL-180の初めてのプレタポルテの発表の地を、ここに選んだとか。情緒のあるロイヤル・ディストリクト・シアターでのランウェイは、トビリシ出身アルメニア人の監督、セルゲイ・パラジャーノフ(Sergei Parajanov)による’69年の映画『The Color of Pomegranates』がインスピレーション。彼女たちの友人のセット・デザイナー、ヴィクトリア・サロモーニ(Victoria Salomoni)による舞台を背景に、まるでお芝居のような、色に溢れた詩的なショーが展開されました。

もう一人、ここで再会した友人がケテヴァン・マイサイア(Ketevane Maissaia )。パリ・ベースでロエベのバッグデザインのチームで働く彼女は、トビリシ出身。彼女がデザインする、ファスナーをアクセントとしたローファー、ル・モカサン・ジペ(Le Mocassin Zippé)のプレゼンテーションのために帰郷していたのです。彼女の靴は、現地の職人による、ハンドメイド。プレゼンテーションでは、新作コレクションと共に、巨大なルックブックが公開されました。

 

また、このファッション・ウイークで初めて知ったブランドのうち、私の一番のお気に入りはゴラダミアン(Goladamian)。ゴラ・ダミアンによるメンズとウイメンズのコレクションは、ユニセックス、いやアンドロジナス。ベーシックなストリートウエア、スポーツウエアにファンキーなテイストをプラスし、現地の若者たちから支持を集めています。そして噂に聞いていたブランド、イラクリ・ルザゼ(Irakli Rusadze)による、トビリシいちハイプなシチュアショニスト(Situationist)。彼は15歳で独学でデザインをはじめ、’08年にブランドをスタート。ベラ・ハディッドが彼のレザーのコートやサイハイブーツを着用してパパラッチされたことで、注目を集めています。

一方、ジュエリーと家具のデザイナー、ソフィオ・ゴンリ(Sofio Gongli)は、ロマンティックかつファンキーなエナメル細工のジュエリーの新作を発表しました。一軒家で開かれたプレゼンテーションは、紙細工のアーティスト、ヴェネラ・カザロヴァ (Venera Kazarova)とのコラボレーション。トビリシでは、ヴェトモンに続け!とエッジーなスタイルが目立ちますが、こんな風に現地のクラフツマンシップを生かした、我が道を行くデザイナーも、多数いるところが魅力です。

 

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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