ローズウッド・ホテルズの一つ、オテル・ドゥ・クリヨン(Hotel de Crillon)が、4年間もの改装を経て7月初旬にオープンしました。18世紀にルイ15世の命を受けて建てられ、1909年に創業したこの由緒あるホテルは、コンコルド広場に面する、パリきってのパラス・ホテル。ヴァンドーム広場のオテル・リッツが、改装よりは修復という形で再びドアを開いたのは、ちょうど1年前。さて、部分的に歴史的建造物に指定されているオテル・ドゥ・クリヨンは、どんなディレクションで蘇ったのでしょう?
改装にあたっては歴史を重んじつつ、コンテンポラリーなタッチがほどよいさじ加減で加えられました。約80の部屋、30を越えるスイート、そして10ものシグネチャー・スイート、そしていくつかのバーやレストランに新しい息吹をもたらしたのは、3人の著名インテリア・デザイナー。トリスタン・オエー(Tristan Auer)、シャハン・ミナシアン(Chahan Minassian)、シリル・ヴェルニョル(Cyril Vergniol)という3人の仕事の調和を指揮したのは、アート・ディレクターの アリーヌ・アスマー・ダマン(Aline Asmar d’Amman)です。また、ゲスト・デザイナーには、自身のホテルのプロジェクトもあると言うカール・ラガーフェルドが迎えられました。どの部屋も家具やオブジェはアンティークとモダンのミックス。ベッドリネンなどには最高級の素材が用いられ、エスプレッソマシーンはレザーでくるまれ、バスルームにはビュリー(Buly1803)のアメニティーが並べられるなど、ディテールも最高の気遣いです。
一方食も、オテル・ドゥ・クリヨンが自慢とするところです。特筆すべきは、22席のみのスーパーガストロノミー・レストラン「レクラン」(L’Ecrin)の洗練されたフレンチ・クイジーヌ。シェフは改装前の同ホテルのレストランで既にミシュランの星を獲得していた、クリストファー・アシュ(Christopher Hache)です。ややカジュアルなのが、若手シェフ、ジュスタン・シュミット(Justin Schmitt)によるクラシックなメニューの「ブラッスリー・ドモン」(Brasserie d’Aumont)。ドリンクならMOF(国家最優秀職人賞)の称号を誇るパティシエ、ジェローム・ショセース(Jérôme Chaucesse)のスイーツが楽しめるティールーム、「ジャルダン・ディヴェール」(Jardin d’Hiver)か、エントランスすぐ右手のバー、「レ・ザンバサドール」(Les Ambassadeurs)へ。
ちなみに、400人ものスタッフのための、90型のユニフォームは、新進デザイナー、ユーゴ・マタ(Hugo Matha)の作。こんな人選にも、オテル・ドゥ・クリヨンのモダンなアプローチが感じられます。
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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