この夏の最初のバカンスとして、マラケシュへ出向きました。まずは新市街ゲリスにある、ジャルダン・マジョレル(Jardin Majorelle)へ。ムッシュ・サンローランと彼の元パートナーであるピエール・ベルジェが、画家ジャック・マジョレルの庭園を購入し、整備して一般公開するようになったのは、1980年のこと。ここにはパームツリー、サボテンなど南国の植物に混じって、バンブーが生い茂っています。これは見た目のオリジナリティのためだけではなく、水分をあまり必要としない植物を主体として水を節約する、エコロジー対策も兼ねているとか。庭園では、モザイクの噴水で水を飲む野良猫を見て和むもよし、鮮やかな色にペイントされた壺にサンローランのインスピレーションを感じ取るもよし。また、必見はブティック。ここでは、サンローランのアイコニック・ピースにちなんだウェアやジュエリー、小物が展開されています。また、ホームウエアやバブーシュ、フレグランスは、現地の職人とジャルダン・マジョレルのアート・ディレクターとのコラボレーションによる、ここでしか手に入らないオリジナル。
次は、庭園併設、昨年オープンしたミュゼ・ベルベルへ。ベルベル人とは、アトラス山脈からサハラ砂漠までをルーツとする、北アフリカの先住民族です。彼らの文化をこよなく愛したムッシュ・サンローランへのオマージュとして、このミュゼではベルベル人の民族衣装やジュエリーの珠玉を展示しています。
その後、庭園の隣に10月オープン予定の、未来のミュゼ・イヴ・サンローラン外観見学へ。案内役は、ちょうどマラケシュに滞在中だったドミニク・ドゥロシュさん。彼女はムッシュ・イヴ・サンローランのメゾンでPRを担当。彼がデザイナー引退し亡くなった後もピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団(Fondation Pierre Bergé -Yves Saint Laurent)で長年PRを続けてきた、いわばサンローランの生き字引き。現在は、ミュゼ・イヴ・サンローランの展示準備に取り組んでいます。パリの建築家デュオ、スタジオKOによる建物は、モロッコに特有のテラコッタ色のレンガを使いつつ、ミニマルで未来的な流線形のシルエットで、伝統とモダンさをミックスした作り。ここ「イヴ・サンローラン通り」には、ムッシュのモロッコ時代の写真も掲げられています。2か月後のオープンに、乞うご期待!
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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