おなじみラデュレ(Ladurée)が、アーティストのマリーナ・アブラモヴィッチ (Marina Abramović)とのコラボ・マカロンを発表しました。より正確には、数年前にNYで発足したアート・プロジェクト、クレエマート(Kreëmart)を交えての、三位一体コラボレーションです。クレエマートのファウンダー&クリエイティブ・ディレクターは、アート界でインサイダー歴が長い、ラファエル・カストリアーノ(Raphaël Castoriano)。彼の目指すところは、“砂糖を媒介として”の、アーティストとスイーツ・メーカーとのクロスオーバーだとか。そして彼のキュレーションの一連として誕生したのが、Pastry Portrait®。つまり味=アイデンティティと考え、味覚で人物像を描くという試み。その一つ目が、この摩訶不思議なマカロン、Marina Abramović’s Tasteと言うわけです。
ユーゴスラヴィア出身のマリーナ・アブラモヴィッチは、自ら演じるパフォーマンス・アートで世界的に評価されていて、今年ストックホルムで始まった回顧展『The Cleaner』は、今後世界各国を巡る予定だとか。カストリアーノ氏は、“手で触ることのできない一過性のアート”を謳うこのコンセプチュアルなアーティストの人物像を探るために、戦略的な質問票を用意しました。彼女に投げかけられた質問とは、好きな色、匂い、風景から、子供のころの思い出まで。そしてマリーナが求めたのは、“口の中に残る思い出”。質問表への答えを元に、マリーナという存在、つまり複雑で抽象的な要素を、味と色に置き換えるという使命を受けたラデュレのパティシエは、未知なフレイバーの創作に当たりました。
こうしてできたMarina Abramović’s Tasteは、プルシアン・ブルーと呼ばれる紺青色。また、マカロンの表面を飾るのは金箔、またはアブラモヴィッチ家の家紋。マリーナがこのマカロンを味わうシーンをおさめたショート・ビデオは、“一過性”を全うすべく、各都市でのローンチ会場に限っての上映。10月初旬、現代アートフェア『Frieze London』期にロンドンのハロッズで開かれたお披露目を皮切りに、今週は、パリで。日本でも来年以降のローンチが予定されています。お楽しみに!
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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