2017.11.09

フランスで日本の建築&アートを観てみると・・・?

来たる2018年、正式な日仏交流は160年を迎えます。これを記念して大々的に開かれる日本の文化紹介の多角的企画が、ジャポニスム2018。この一環として、フランス東部のポンピドゥーセンター・メス(Centre Pompidou Metz)ではこの秋、数か月に及ぶ二つの展覧会がオープンしました。

一つは、日本の建築と都市計画を語る、ジャパネス(Japan-ness)です。中世に栄えた歴史的な街、メスにて存在感を際立たせる円盤形のポンピドゥーセンターは、坂茂氏の設計。ですから、ここは日本の住居から集合建築までを語るのに、最も適した場所だと言えるでしょう。本展では磯崎新、伊東豊雄、丹下健三、そして国立新美術館での回顧展が始まっている安藤忠雄らを始め数々の建築家による設計図、写真、模型を通じて、戦後から今日までの日本の建築コンセプトの発展が一望できます。

もう一つは、ジャパノラマ(Japanorama)。こちらは大阪万博が開かれた1970年以降を基本とし、音楽からファッションにわたって近代&現代のアートを紹介しています。キュレーターは金沢の21世紀美術館の立ち上げ時に芸術監督を務めた、長谷川祐子氏。ファッションではコム デ ギャルソンとヨージ ヤマモトはもちろん、アンリアレイジなど今日のデザイナーもアートの一角として紹介されています。そしてグラフィック・アートでは横尾忠則、大竹伸朗、ビジュアルアートを含めた音楽ではイエローマジックオーケストラ、絵画では奈良美智や村上隆ら。
建築界のアカデミー賞とも言えるプリツカー賞受賞歴のあるサナア(妹島和世氏と西沢立衛氏のユニット)による演出は、会場全体を列島に見立て、ミニマリズムやポップ、フューチャリストなどのテーマでまとめた“島”が広がるという作りです。よく考えてみたら、近代の日本を代表するアーティストを集めた展覧会は、逆に日本ではあまり見る機会がありません。また、見慣れた作品を違った環境、違う視点で見るのも面白いものです。

ポンピドゥーセンター・メスへのアクセス:パリ東駅(Gare de l’Est)からTGVで約1時間20分、Metz駅下車、徒歩5分。
Japan-ness は〜1/8、Japonoramaは〜3/5。

このほか、アーティスト集団ダムタイプに捧げられたOdyssee Extra- Sensorielle展は、来年1/20〜5/14。またこの機会に開かれる「10 Evenings」では勅使河原三郎のダンス、森村泰昌のパフォーマンス、坂本龍一のコンサートなど、大物アーティストの最新作を含めた各種公演も予定されています。詳しいアクセスとプログラムはサイトで。

http://www.centrepompidou-metz.fr/en/welcome

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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