ファッションのブランドがアーティストを招いてコラボレーション商品を作るのはもはや当たり前だけれど、アート界にファッション・デザイナーが踏み込むのは稀な例。また、アフリカ系デザイナーがフランスの老舗メゾンのアーティスティック・ディレクターに起用されることも初めて。こんな“初”続き快進撃を遂げるのは、オフホワイトのデザイナーとして今やストリートウエアの神様的存在、ヴァージル・アブローです。
そんな彼と村上隆によるアート展TECHNICOLOR 2 が、パリのガゴシアン・ギャラリーで幕を開けました。去る2月に同ギャラリーのロンドンのスペースで披露されたFuture Historyに続き、二人のコラボは2度目。ヴァージルがカニエ・ウエストの右腕を務めていた頃に出会った二人はチャットでアイディアをやりとりし、またもや遠隔コラボレーションを成し遂げたのです。
本展では村上隆の作品に登場するキャラクターとオフホワイトのトレードマークであるダブル矢印(アローロゴ)が色々な方法でクロスオーバーしています。“合作”の意味深さが感じられたのは、温室に見立てたスカルプチャー。ここでは村上隆の「花」を、ヴァージルの「温室」がプロテクトするのです。カラフルな村上作品と、ヴァージルのモノクロ使いも対照的。ちなみにヴァージルは、ルイ ヴィトン オムでの初のランウェイを発表したばかり。パレ・ロワイヤルの庭園を彩っての、レインボーのキャットウォークが話題になりました。
同展のオープニングには、ラッパーたちを始め彼の同志達が多数詰めかけ、通りにはファンもあふれて大変な騒ぎに。
折しも数日前にはビヨンセとJay ZのThe Cartersがルーブル美術館で撮ったビデオクリップApes**tを発表して、話題になったばかり。ブラック・パワーとジャンルの融合、多数の意味を含むレインボーカラー……。さまざまな観点で、Technicolor 2は現代のムードを象徴した展覧会だと言えるでしょう。
『Murakami x Abloh TECHNICOLOR 2』は開催中〜7/28まで
Gagosian Paris 4, rue de Ponthieu 75008 Paris
text:Minako Norimatsu