シャネルのフィナーレで、モノクロのツイードの一群。大きめの襟とソックスは、女学生のユニフォームを想起させる。Photo : Courtesy of Chanel
シャネルのショーのゲスト。右:カール・ラガーフェルドの時代からメゾンと密接な関係にある、ファレル・ウィリアムス。左:小松菜奈。背後に見えるのは会場の演出の一部である、修道院の洗濯物に見立てた白のシーツ。Photos : Courtesy of Chanel
シャネルのショーにて。右:1年ほど前よりシャネルのアーティスティック・ディレクターである、ヴィルジニー ヴィアール。左:オバジーヌの修道院を再現した会場セット。Photos : Courtesy of Chanel
ジバンシィのランウェイより。右:誇張された大きな帽子は、ユベール・ド・ジバンシィによるオードリ・ヘップバーンの衣装へのトリビュート。左:ジャイアント・ハットの進化形?トレーンを引くトップ。Photos : Courtesy of Givenchy
ジバンシィのランウェイより。右:カイア・ガーバーが着たドラマチックなマリエ。左:袖の外側に配したカスミ草に似たモチーフは、まるで縁がライトアップされたかのような効果を。Photos : Courtesy of Givenchyかすみ草に見立てた立体的なモチーフを
ヴァレンティノのランウェイより。黒の構築的なドレスは、本コレクションのキー・ピース。右:バック・スタイルがスレンダー・シルエットを強調するドレス。左:グラフィックなドレスには、クレイジーなヘア。Photos : Courtesy of Valentino
ヴァレンティノのランウェイより。右:サッシュベルトと大きなリボン使いも、今回のレイトモチーフ。左:まるでオブジェのような、大ぶりのイヤリングがルックを完成させる。Photos : Courtesy of Valentino
シャネルのフィナーレで、モノクロのツイードの一群。大きめの襟とソックスは、女学生のユニフォームを想起させる。Photo : Courtesy of Chanel
シャネルのショーのゲスト。右:カール・ラガーフェルドの時代からメゾンと密接な関係にある、ファレル・ウィリアムス。左:小松菜奈。背後に見えるのは会場の演出の一部である、修道院の洗濯物に見立てた白のシーツ。Photos : Courtesy of Chanel
シャネルのショーにて。右:1年ほど前よりシャネルのアーティスティック・ディレクターである、ヴィルジニー ヴィアール。左:オバジーヌの修道院を再現した会場セット。Photos : Courtesy of Chanel
ジバンシィのランウェイより。右:誇張された大きな帽子は、ユベール・ド・ジバンシィによるオードリ・ヘップバーンの衣装へのトリビュート。左:ジャイアント・ハットの進化形?トレーンを引くトップ。Photos : Courtesy of Givenchy
ジバンシィのランウェイより。右:カイア・ガーバーが着たドラマチックなマリエ。左:袖の外側に配したカスミ草に似たモチーフは、まるで縁がライトアップされたかのような効果を。Photos : Courtesy of Givenchyかすみ草に見立てた立体的なモチーフを
ヴァレンティノのランウェイより。黒の構築的なドレスは、本コレクションのキー・ピース。右:バック・スタイルがスレンダー・シルエットを強調するドレス。左:グラフィックなドレスには、クレイジーなヘア。Photos : Courtesy of Valentino
ヴァレンティノのランウェイより。右:サッシュベルトと大きなリボン使いも、今回のレイトモチーフ。左:まるでオブジェのような、大ぶりのイヤリングがルックを完成させる。Photos : Courtesy of Valentino
1月20 日から4日間に渡り、パリで開かれた2020年春夏オートクチュール・コレクション。ここでは特に感慨深かったショー、ベスト3をご紹介しましょう。
まずは、ストイックからロマンティックへの緩やかな展開を見せた、シャネル。毎回シャネルのショーでは、グランパレ内にテーマを体現する大掛かりなセットが設置されますが、今回再現されたのは、シトー会修道院の庭。 ヴィルジニー ヴィアールがマドモアゼル シャネルのルーツを求めて行き着いた舞台です。少女ガブリエル シャネルは 19 世紀末に、 フランス南西部の村オバジーヌにあるこの施設 で 数年間を過ごし、同時に裁縫を学んだとか。何やら象徴的にOpus III のIt’s A Fine Day という選曲で幕を開けたショーは、モノクロのツイードで仕立てたスーツに始まり、次第に軽やかさを増して白のドレスの一群へ。まるで、孤児院で厳格な暮らしを送りつつ自我に目覚めた少女が自由を求めて羽ばたいて行ったような、内省的なオマージュを感じさせられました。
さて、今季のベスト・ショーと評されているのが、ジバンシィです。「ラブレター」と題されたこのコレクションでのクレア・ワイト・ケラーの着想源は、19世紀前半に上流階級を魅了したイギリスの貴婦人、ヴィタ・サックヴィル=ウェスト。詩人&エッセイストだった彼女の作品もさることながら、クレアはイギリス・ケント州シシンググハースト城にある、彼女がつくった庭園にも絶大な思い入れがあるとか。“庭”は、幾重にも重なるラッフルやデリケートな花モチーフの刺繍で表現されています。また終盤を飾った白と黒のルックの数々は、ユベール・ド・ジバンシィの黄金時代を想起させる一方、ヴィタの強い個性も象徴しているのかもしれません。昨年公開された、ヴィタとヴァージニア・ウルフの情熱的な同性愛を描いた映画『Vita & Virginia』を改めて見てみようという気持ちになりました。
一方、純粋にオートクチュールならではの美しさ、何よりも夢を追求するのは、ヴァレンティノのピエールパオロ・ピッチョーリです。今回はいつもに比べて多様性を増し、流れるようなラインよりは、構築的なシルエットやグラフィックなカラーブロックで展開。鮮やかな色使いや誇張されたアクセサリーは健在で、特にロング・グローヴと胸元まで垂れ下がるイヤリングが、クラシックとモダンの微妙なバランスを演出しています。私が思い起こしたのは、ベルナルド・ベルトルッチの映画に見るようなエキセントリックな、ブルジョワ女性たち。ストーリーやコンセプトを語るのではなく、それぞれの服の力で勝負をするデザイナーの底力が感じられました。2020年春夏オートクチュール速報は次回に続きます。お楽しみに。
text: Minako Norimatsu