全面解除となったパリで今駆けつけたい、パコ ラバンヌの新たな旗艦店

朗報です!パリは6月14日、新型コロナウイルスの蔓延が低度なことを意味する“グリーン”ゾーンになったことが発表されました。7月1日からは、危険指数の高い国は除き、ヨーロッパ以外の国からの入国も可能に!と言うわけで、今回は再オープンしたパリのパコ ラバンヌの新たな旗艦店をやっとご紹介できることになりました。

隠れ家的なこのスペースは、フォーブール・サントノレ沿いの建物のドアを押すと広がる、中庭の奥に位置します。3つのフロアはいずれもメタルとプレクシグラスが織りなす近未来的な雰囲気に、土っぽいテラコッタ色の床、パイプがむき出しのインダストリアルな天井、そしてパリに典型的な鉄細工のバルコニーといった異要素が融合したスペース。だからこのインテリアに最も生えるのは、あのアイコニックなメタル・メッシュやロドイド(プラスチック)のシーケンスです。これは1966年にメゾンを設立したクチュリエ、パコ・ラバンヌ氏の考案による、小さなパーツを繋げた金属またはロドイドの編み地。フランソワーズ・アルディがゴールドのメタル・メッシュのミニドレスを纏った姿は、ファッション史上でもあまりに有名です。彼がドレスにバッグに、と幅広く使っていた、クラフツマンシップが生きるこのテクニック“アッサンブラージュ”。これは現在ではドレスやバッグはもちろんスカーフ、ジュエリー、そして靴にまで発展しています。特にバッグは、今や誰もが一つは欲しい、マスト・アイテム。

ちなみに、メゾンが現在のアーティスティック・ディレクター、フランス人のジュリアン・ドッセーナを迎えたのは7年前。ジュリアンはベルギーのラ・カンブルでファッションを学び、バレンシアガで数年間ニコラ・ジェスキエールに師事した、実力派です。服をまるで構築的なオブジェのように創り上げるアヴァンギャルドなスタイルで一時代を築いた創始者のエスプリを、ジュリアンはコンテンポラリーに、そして遊び心たっぷりに進化させました。ここ数シーズンで彼のシグネチャーとして定着したのは、花柄やレースと言った繊細な要素とハードでグラマラスなメタルやラメ、そしてスポーティなデザインのミックス&マッチ。彼の新境地、中世の戦士や聖職者のユニフォーム、洗礼のドレスを思わせる神秘的な秋冬コレクションも、秋の入荷が楽しみです。
Paco Rabanne
54, rue du Faubourg Saint Honoré 75008 Paris

Text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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