GucciFestとは!? まるで連ドラ。ビデオ連載でグッチの最新形を毎日ちょっとずつ目撃しよう

フィジカルなイベントが限られているここ数か月、数多くのブランドが最新コレクションを “リモート“で発表しています。もうデジタル・プレゼンテーションのアイディアは出尽くしたのでは、と思いきや、グッチから全く新しい提案が。1週間に渡るオンライン・フェスティバル、名付けてGucciFestの期間中、まるで連ドラの様に少しずつ、ショートフィルムで新作が披露されるのです!しかも7つのフィルムは、メゾンのクリエイティブ・ディレクターであるアレッサンドロ・ミケーレと、ガス・ヴァン・サントのコラボレーションだとか。彼は『エレファント』(2003年)や『ミルク』(2008年)で知られる社会派の映画監督。一方アレッサンドロはモード界のオピニオン・リーダーでもありますから、ここではファッションはもとより、二人の共同監督作品の根底に流れるメッセージも読み取りたいところです。また9月のミラノFW期ではなく季節外れの今リリースするのは、コロナ禍第一波ただ中の5月上旬にグッチのインスタグラム上で発表されたアレッサンドロの声明、Notes From the Silenceに則ってのこと。つまり、目まぐるしい従来のファッションのサイクルにはピリオドを打っての、“イレギュラーだけど楽しくて、自由な新しいチャプター”なのです。

『OUVERTURE of something that never ended』(終わらなかったものの序曲)と題されたフィルムは、グッチのお膝元であるローマが舞台。モデルたちと共にグッチの新作を纏う主人公は、パフォーミング・アーティストのシルヴィア・カルデローニ(Silvia Calderoni)です。11/16(月)夜にリリースされた20分弱の第一話ではまず、彼女が友人たちとシェアするアパートにズームイン。

彼女がベッドから起き上がってアパート内を徘徊し、リビングでテレビをつけると、ジェンダーや愛についての哲学論がきこえてきます。これに耳を傾けつつヨガを始めると、何とテレビ画面からは哲学者のポール・プレシアド(Paul B. Preciado)がシルヴィアに語りかけてきました。この後は彼女が数回着替え、郵便物をとったりベッドメイキングをしたり、バルコニーから外を眺めたり......。家の中の彼女を追う映像は、まるで限られたロケーションでのロードムービー。そしてガスらしく、日常の些細なことにはっとさせる瞬間を挟んでいきます。音楽はキム・ゴードンやビリー・アイリッシュなどグッチ・コミュニティの豪華な仲間たち。
続いて2日目以降はカフェ、郵便局、シアターなど、市内の様々な場所を巡ります。特に第6話「ヴィンテージ・ショップ」では、サステイナブルに積極的でThe Real Real(デザイナーもののリサイクル・ショッピング・サイト)を同ブランドのセカンドハンドの販売先として認めるグッチが、どんなシナリオを想定したのかが楽しみ。

ちなみにGucciFestでは連日この『OUVERTURE...』と同時に、グッチがサポートする15の若手デザイナーたちにも、フィルム発表の機会が与えられました。初日はコリーナ・ストラーダのビデオゲーム仕立てのフィルムCollina Landが、ファンキー! 若手デザイナーのうち木曜日リリースのコルミオ(Cormio)、最終日のシャルル・ドゥ・ヴィルモラン(Charles de Vilmorin)については、来週明けにそれぞれのインタビューを交えて紹介の予定です。Stay tuned!

*GucciFestの視聴はYoutubeのGucciチャンネルで。プログラム上の表記時間は日本より8時間遅い、中央ヨーロッパ時間帯。

Text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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