6月20日に、フランスでは予定を10日間早めて封鎖解除が完了しました!この開放感を音楽とファッションで象徴するのが、まるで太陽のような存在、クララ・ルチアーニ。フレンチ・ポップの新世代を代表するシンガー・ソング・ライターである彼女は、折しも6月半ばにセカンド・アルバムをリリースしたばかりです。3年前には失恋をインスピレーションとしたデビュー・アルバム『Sainte Victoire』 (聖なる勝利、の意)を大ヒットさせたことに見るように、ネガティブなできごとをもポジティブなパワーに変える魔法の力を持つクララ。ロックダウン中につくったと言うアルバムは、題してハートを意味する『Cœur』です。元気を与えてくれる曲の集大成は多くの人々のハートに訴え、リリース1週間後にはフランスでヒットチャートのトップに躍り出ました。彼女の人気の秘訣は軽やかなメロディーと誰もが共感できる歌詞、包み込むような温かい歌声。そして何と言っても、ぱつんと切った前髪とアイライナーで強調した大きな目、満面の笑顔が特徴的な、親しみやすくチャーミングなルックです。
182cmという長身にも関わらずどこかキュートな容姿とレトロシックなスタイルで、クララはデビュー当時からファッション界でも引っ張りだこ。これまでクロエが衣装提供、シャネルがイベントでのプライベート・コンサートに起用し、フランスの新しいファッション・アイコンとしての地位を確立してきましたが、最近はグッチのアンバサダーの一人に。去る6月20日、つまりフランスで毎年夏至の日に開かれる“音楽の日”の前日には、パリのイタリア文化センターの庭で開かれたグッチ主催のガーデンパーティで、ステージに立ちました。彼女のルックは、アレッサンドロ・ミケーレ自身のセレクトだとか。
ちなみに、日本ではまだなじみが薄いかもしれないクララ・ルチアーニは、1992年南仏生まれ、ラ・ファムやヌーヴェル・ヴァーグと言ったフランスを代表するバンドでボーカルに参加した後、ソロ・デビューを遂げました。余談ですが、彼女は大の日本びいきで、One ne meurt pas d'amour のクリップの撮影は、東京で。
またファースト・アルバムをエクサン・プロヴァンスに近い山の名前からとってSainte Victoire と名付けているように、故郷思いの一面も彼女の魅力の一つです。Le Reste(最新アルバムからの初のシングルカット)のビデオ・クリップの撮影は、彼女の出身地である南仏の港町Sanary-sur-Merにて。
カトリーヌ・ドヌーヴが亡き姉と共演したことで知られる映画「ロシュフォールの恋人たち」(ジャック・ドゥミー監督、1967年)にインスパイアされたと言うミュージカル仕立てのビデオ・クリップを見たら、誰もがクララのファンになってしまうことでしょう!
*クリップはYoutubeのClara Lucianiチャンネルでビューイング可能。プレイリストはSpotify、Apple Musicにて。
Text: Minaklo Norimatsu
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/