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2024.05.22

【エンシェントグリークサンダルズ】で夏の足元は古代ギリシャ風に!

こだわりはクラフトと、ナチュラルダイレザー

エンシェントグリークサンダルズは、文字通り古代ギリシャを着想源として、この国に伝わる職人技術を生かしたサンダルのコレクション。クレタ島で靴工場を経営していた祖父を持つビジネスマンのニコラス・ミノグロウと、シューズデザイナーのクリスティーナ・マルティニが、2012年にローンチしました。二人の出会いは、2009年。
「彼とは、お互いの故郷であるギリシャの伝統的なサンダルを、より良いクオリティとモダンなデザインで、と言うアイデアをシェアしたの」と、クリスティーナは回想します。その後話し合いやリサーチを重ねて、2年後にクリスティーナの個人的な転機をきっかけにやっと、二人のプロジェクトは現実的に。彼女が妊娠したため、当時の仕事(ニコラ・ジェスキエール率いるバレンシアガでのシューズデザイン)を辞め、自身のリズムでものづくりに専念したいと思ったこと。そして彼女の夫が、祖母の出身地であるギリシャ北部のケルキラ島で祖父のオリーブオイル農場を継ぐことになり、夫妻がギリシャに戻ったことが理由です。
「ブランドのコンセプトとして想像したのは、架空の神話。クレタ島では神々たちが、腕利きの職人たちに魔法のパワーがあるサンダルを注文していた、と言う筋書きで」と、クリスティーナは笑います。ロゴには、オリンポス十二神の一人、ヘルメースが履いていたとされる翼のついたサンダルが描かれました。

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オリンポス十二神の一人、ヘルメースが履いていたとされる翼のついたサンダルを再解釈した、定番。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ジュエリーから建築。伝統的衣装。ギリシャの文化の全てが好きで、頻繁に行くのはアテネのキクラデス博物館やベナキ美術館、というデザイナーのクリスティーナ・マルティニ。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

そして2012年、ナチュラルカラーを中心としたレザーのフラットサンダルだけでスタートした初コレクションには6000足ものオーダーがつき、すぐに話題となりました。パリでの初の取扱店は、他でもないコレット(1997年から20年間世界のトレンドをリードしたコンセプトストア)。レザーの染色にはケミカルを一切使わず、世界各地で規模が縮小しつつあるクラフツマンシップを支える、というサステナブルでエシカルな一面も、時代の先取りだったと言えるでしょう。クリスティーナによれば、ギリシャのサンダルに特有な“手作り”を見分けるポイントは、ソールの側面のカットアウト。「靴の本体、つまり上の部分をソールに縫い付ける作業は、必然的に機械で行われます。でも穴に本体のパーツを差し込み、糊付けするギリシャのやり方は手作業で」。

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定番の一つ。ナチュラル、ブラック、白での展開。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

 

コラボレーションからカプセルコレクションまで

ローンチ後の12年を通じて、やや厚みのあるソール、立体感のある本体、レーザーカット、細かいステッチなどをシンプルなデザインを基本に、技術面でもデザイン面でも発展を遂げてきたエンシェント・グリーク・サンダルズ。今年はまさに飛躍の年で、さまざまなプロジェクトを発表しています。皮切りは4月にローンチされた、カスタニエールとのコラボレーションカスタニエールはスペインの伝統的なエスパドリーユのブランドで、ジュートを使ったソールに象徴されます。この企画ではサンダルの本体はエンシェント・グリーク・サンダルズでデザインと制作を、伝統的ソールを使っての組み立てはカスタニエールで、と言うプロセス。

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カスタニエールとのコラボレーションの一つは、グラディエーターサンダルの変化形。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

 

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カスタニエールとのコラボレーションの一つには、珍しく黒のソールも。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

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カスタニエールとのコラボレーションの一つから、ウェッジタイプ。ヒール9cm。Photo: Courtesy of Ancient Greek Sandals

また単独の企画としては、5月初旬から数回のドロップに分け、ヴィンテージを再解釈したデザインでPVCを素材としたジェリー・コレクションを発表。「私の祖母も、夏はこのタイプのサンダルを愛用していたの。ビーチでも街でも履けるし、オールマイティ」。と、クリスティーナ。ジェリーはオンラインショップ、アテネ本店はもちろん4月にオープンしたアテネ空港の免税店でも大人気で、ファーストドロップのバレリーナはもはやソールドアウトだそう。

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ジェリー・コレクションは価格抑えめで。このバレリーナは110€。白、ブルー、ベージュ、赤、黒の展開。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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この夏のビッグトレンド、フィッシャーマンサンダルはジェリー・コレクションにも取り入れられた。ブルー、ピンク、白、黒の展開。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ジェリー・コレクションより。ソングはクリア、キャラメル、赤、黒の展開。Courtesy of Ancient Greek Sandals

またセレクトショップ、バイ・マリーのマルセイユ店では、取り扱い10周年を記念して、限定モデルをローンチしました。もう一つの限定モデルは、月末にアテネのセレクトショップ、ムッキー・ムーで始まるドーザのクリスティーナ・キムとのコラボレーション。これについては次回のムッキー・ムー×ドーザのイベントのレポートをお楽しみに。

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バイ・マリーのための限定モデル。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ムッキームー×ドーザ×エンシェントグリークサンダルズの限定モデル。最新版は、2015年のデザイン(写真)に、新たにゴールドの要素を加えた進化系となる予定。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ムッキームー×ドーザ×エンシェント・グリーク・サンダルズの限定モデル、もう一型。「クリスチーヌはファッションデザイナーの型にはまらない。彼女の独特のテクニックを使った服作りが好き」と、クリスティーナ。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションから、グラディエーターサンダル。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションから、大人気のラフィアのバレリーナ。このベージュのほか黒も。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションから、ハトメサンダルはカラータイツとの相性も良い。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションのルックブックでは、スウェードサンダルの秋口でも履けるスタイリングを提案。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションから、ヒール7.5cmのウエッジサンダル。ストラップの留め具も羽のモチーフ。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションより。中央の飾りは、クレタ島に伝わる青銅器時代のジュエリーがインスピレーション。ハニーコームを抱える蜂のモチーフを、解体して再解釈。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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2024SSコレクションでは、こんなミニマルなサンダルも。Courtesy of Ancient Greek Sandals

ライフスタイルに見る、素朴なグリーク・スタイル

さらに、エンシェント・グリーク・サンダルズのエスプリをより象徴的に物語っているのが、インテリア・スタイル。コージーな家をイメージしてクリスティーナ自身が構想したアテネの旗艦店で壁を飾るのは、彼女が愛する北イタリアのカラフルな手織りタピストリーです。テーブルウエアは、コロナ禍にプロダクト・デザイナーとのコラボレーションによるカラフルなグラス一連でスタート。その後ギリシャの民芸品にインスパイアされ、手描きのセラミックやギリシャ彫刻を刺繍したテーブルリネンなども加わりました。昨年夏に夫が祖母宅を改装してオープンした、ビジットまたは宿泊もできるファームDr Kavvadiaのためにはレザーのボトルカバーやバスケットも加わり、ホームウエア・コレクションは少しずつ発展しています。
今後は靴職人を養成する専門学校の企画に関わる予定もあると言う、エンシェント・グリーク・サンダルズ。すべてのモデルは公式サイトで、定番(Icons)と2024SSコレクションと並んで日本からもオーダー可です。(価格は200€前後)

*日本での取り扱いはエディションにて

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アテネの旗艦店では、プールを想わせるブルーのモザイクと観葉植物がエンシェントグリークサンダルズのエスプリを具現化する。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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アテネの旗艦店で上階の壁を飾るのは、ギリシャ北部の伝統工芸である、手織りのタペストリー。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ホームウェアコレクションより。手描きの陶器では、カラフのモチーフとなったフクロウの目の部分を拡大してお皿に。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ホームウェアコレクションより。レザーのグラスや花瓶カバー。Courtesy of Ancient Greek Sandals

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ホームウェアコレクションでは。オリーブオイルボトルにもレザーのカバーを。Courtesy of Ancient Greek Sandals

ケルキラ島でクリスティーナの夫が営むオーガニックオリーブオイルのファーム、Dr Kavvadiaのゲストハウスはアップサイクルを基本としたインテリア。ギリシャ北部のこの島はイタリアに近いことから西ヨーロッパの趣がある。

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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