世界中のストリートでスタイリッシュな美女たちを見出し、スナップしてきた、フォトグラファーのミトグラフ。アップカミングな女性を見つけ出すことにかけては右に出る者なしの彼が、最近出会った注目の女性や、今いちばん会いたいイットガールを撮影する連載「M'IT GIRLを探して」。ウェブ版では、ミトグラフと「M'IT GIRL」の対談により、より深く彼女の魅力に迫る。第2回の「M'IT GIRL」は、NY在住のモデル、スヴェア(写真左)。実は彼女には、同性の結婚相手が!
「男友達の元・彼女」が女性と結婚!?
ミトグラフ(以下、M)「僕がきみに初めて会ったのは3年前。きみは当時、僕の友達とつき合っていて、彼女として紹介されたのがきっかけだったね。次にNYで再会したとき、恋人のジェニーを紹介されたから『同性の恋人とつき合ってるんだ!』とすごく驚いたよ。もともとは彼氏を知っていたわけだから、何だか不思議な気分でもあった。さらにSNSできみたちが結婚したことを知って、二度びっくり!」
スヴェアさん(以下、S)「ジェニーとは、彼女の30歳のバースデイパーティで知り合いました。彼女はスペイン出身で、NYでヘアスタイリストとして働いているの。知り合ってすぐに親しくなって、4、5カ月後には恋人同士に。彼女が運命の相手だってすぐにわかったし、彼女と結婚したいと思っている自分にも気づいたわ」
M「ジェニーとの結婚を決めたきっかけは?」
S「私はNYでモデルの仕事をしています。あるとき、規模の大きい撮影の仕事が入ったんだけど、その撮影のテーマが『婚約』だった。それで実生活でもプロポーズしようと決めたの。ジェニーにサプライズをしかけて、NYの街中にある2人の思い出の場所を順番に回らせて、最後に家にたどり着くように仕向けたの。ジェニーが家に着いたところに私が待っていて、片膝をついてプロポーズしたってわけ!」
M「素敵だね! 出会ったときから、僕よりだいぶ年下なのにずいぶんしっかりしている人だと思っていたけど、やっぱりきみはかっこいいね!」
photography:Jonathan Taylor(wedding)
愛する人を「マイ・ワイフ」と呼べることがいちばんうれしい
M「僕はNYに留学していたこともあって、知り合いには同性のカップルもいるけれど、結婚までしたのはきみが初めて。結婚するということは公にカミングアウトすることになるよね。抵抗はなかったの?」
S「私の両親はいつも、何に対してもオープンな考え方をする人たちだったから、私に関しては抵抗はあまりなかったの。でも、ジェニーは保守的なヒスパニックの家庭の出で、両親に認めてもらうのは大変だったみたい。自分のセクシャリティのことで、学校でいじめられたりした経験もあったとか。それもあって、カミングアウトするまでに3年をかけたそうです。でも、私たちはその過程で学んだの、自分らしくあることが人生でいちばん大切なことだって」
M「結婚したことで、2人の関係に変化はあった?」
S「間違いなく、けんかが減って穏やかになったと思う。ただ黙って一緒にいるだけで、すごく安心。と言っても、私はすごくおしゃべりなんだけどね(笑)。まさに完璧な生活、完璧なバランスね。でもジェニーがよく言うように、いちばんうれしいのは愛する人と一緒にいられて、その人のことを『ガールフレンド』ではなくて『マイ・ワイフ』と呼べること。それ以外は何も変わっていないようなものね」
M「これからもNYでの生活を続ける予定?」
S「いつかは私の故郷のオランダに帰ろうと思っている。そこで家族としての生活を始めたいの。収入を得るためにモデルの仕事は続けるつもりだけど、いつか2人で小さなレストランかコーヒーショップを始められたらいいな」
M「オランダでの生活も楽しみだね。素敵な話を聞かせてくれてありがとう!」
photography:mitograph interview&text:Chiharu Itagaki
Svea Berlie(スヴェア・バーリー)
22歳、オランダ出身のモデル。13歳でスカウトされて、カルバン・クラインのショーに出演するなどトップモデルとして活躍。現在はNY在住。
mitograph(ミトグラフ)
写真家。コレクションウィーク中のワールドスナップをはじめ、被写体やウェアの魅力を写し出す作品はSPURでも大人気。
Instagram@mitograph