2017.04.22

NYで働くパリジェンヌ、クララのスタイル・ポリシーは?-Clara Cornet

世界中のストリートでスタイリッシュな美女たちを見出し、スナップしてきた、フォトグラファーのミトグラフ。アップカミングな女性を見つけ出すことにかけては右に出る者なしの彼が、最近出会った注目の女性や、今いちばん会いたいイットガールを撮影する連載「M'IT GIRLを探して」。ウェブ版では、ミトグラフと「M'IT GIRL」の対談により、より深く彼女の魅力に迫る。今回の「M’IT GIRL」は、アメリカのセレクトショップ「ウェブスター」のバイヤーで、ストリートスナップの常連でもあるクララ。来日して東京観光とショッピングを楽しむ彼女をつかまえて、撮影&インタビュー!

コム デ ギャルソンと「ジブリ」が大好きなフレンチガール

クララさん(以下、C)(大きなショッピングバッグを両手に抱えて)「こんにちは!」

ミトグラフ(以下、M)「ずいぶんたくさん買い物をしたね! 何を買ったの?」

C「今履いている、ナイキとコム デ ギャルソンのコラボスニーカー『エア ヴェイパーマックス』と、ギャルソンの古着、荒木経惟の写真集、あとはトトロのお人形をたくさん……私、筋金入りのジブリ・コレクターなの。ヴィンテージのギャルソンも集めているから、東京の古着屋めぐりは本当に楽しい。あとは中野ブロードウェイにも行ったわ。あそこはやばいわね()

M「ずいぶん日本カルチャーに詳しいんだね」

C「私、学生時代に半年ほど日本に留学していたの。だから日本が大好き。日本で目にするものはすべてが美しいわ。買いたいものがたくさんあるけど、今日はトトロを買いすぎたからもうやめておくわ()。日本人デザイナーでいちばん好きなのはギャルソンの川久保玲。彼女は私のファッションアイコンのひとり」

M「じゃあ、他のファッションアイコンは誰?」

C「私は今、NYで暮らしているけれど、ファッション・ポリシーはフレンチガールそのもの。だから永遠のフレンチガール、ジェーン・バーキンがアイコンなの。エフォートレスな彼女と、強いオリジナリティをもつ川久保玲は対極的な存在だけど、この2人の要素をミックスしたものが私自身のスタイルだと思っているわ」

 

おしゃれなママがファッションの英才教育を

M「きみに初めて会ったのは、2シーズンくらい前のファッションウィーク中だったね。そのときスナップを撮らせてもらったよね。すごくおしゃれだったから、『こんな人が今までどこに隠れていたんだ!?』って思った。そのスタイリングセンスはどうやって育まれたんだろう?」

C「間違いなく、母の影響ね。私の母はとてもスタイリッシュな女性で、イッセイ ミヤケやケンゾー、ギャルソンが好きでアーカイブをたくさん所有しているの。私の愛用しているヴィンテージのギャルソンも、母から譲り受けたもの」

M「じゃあ、小さいときからファッションの世界が身近にあったんだね」

C「パリの実家が、デパート『ボン・マルシェ』と目と鼻の先の近さにあるの。だから私は小さいころ、母にせがんで毎日のようにボン・マルシェのショーウィンドウを見に行っていたわ」

M「すごい英才教育だなあ! そのころの経験が、今のバイヤーの仕事に生きているのかもしれないね。仕事に関して、今後やってみたいことはある?」

C「はっきりしたことは言えないけれど……マーチャンダイザーとして、若く才能あるデザイナーがブランドをビジネスとして展開していくのをサポートしたいと思っているの。若い人は、クリエーションに対する思い入れが強すぎて、適正な価格がわからなくなっていることが多い。それで『なんで売れないんだろう?』って悩んでいるから、私が『いくらなんでも値段が高すぎるのよ!!』って言ってあげるの(笑)。そういうアドバイスのできる人が求められているのだと思う」

M「すごく大切なことだね! それでは引き続き、日本滞在を楽しんで!」

 
photography:mitograph interview&text:Chiharu Itagaki

Clara Cornet(クララ・コルネ)
フランス・パリ出身。大学でビジネスとファッション・マネジメントを学んだのち、ギャラリー・ラファイエットに勤務。その後NYに移住し、オープニングセレモニーの名物バイヤーに。現在はウェブスターに勤務。http://thewebster.us/shop/

mitograph(ミトグラフ)
写真家。コレクションウィーク中のワールドスナップをはじめ、被写体やウェアの魅力を写し出す作品はSPURでも大人気。
Instagram@mitograph