崇高さすら感じるほど、クールで知的なティルダ・スウィントン。クィアであることを公言し、あらゆる境界をこともなげに飛び越えていく。ファッションにおいては、180㎝の高身長を生かしたアンドロジナスな着こなしが印象的。仕立てのいいジャケット、テーラードパンツ、ブラウス、ドレス、パンプスなどエレガンスが漂う服に身を包み、レッドカーペットに登場することも。ただし、色や柄、時にヘアスタイルで遊びをきかせるのがティルダ流。内面に宿るアヴァンギャルドな精神が、上品な装いまでもエッジィに染める好例だ。
Tilda Swinton(ティルダ・スウィントン)
1960年生まれ。大学卒業後に演劇を学び『カラヴァッジオ』(’86)で映画デビュー。『フィクサー』(’07)でアカデミー助演女優賞を獲得。12月には声優を務めたアニメ映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が配信。
1 なめらかな質感から気品が漂うシルク混のブラウス。首元のボウタイを流せばノンシャランに、リボンにすればフェミニンにまとえる。
2 シルバートーンのスティックが揺れ、ソリッドな横顔を演出。
3 タイトなニットとボリュームのあるジャカードをドッキング。一枚でドラマティックなシルエットを描く。
4 シェブロン状に繊細なクリスタルを並べた、「ファラベラ」の新作。コンパクトなサイズ感なためアクセサリー感覚で取り入れたい。
5 培ってきた高度なクラフツマンシップを駆使し、アクリル樹脂をレザーで覆ったネックレス。マットなチェーンがモダンな表情。
6 建築家のカルロ・モリーノの邸宅から着想を得た今季。ショートコートには、イタリアのインテリアファブリックを想起させるベルベット・ジャカードを用いた。
7 鮮烈な印象を残した2022-’23年秋冬コレクション「Valentino Pink PP Collection」で登場。目の覚めるような鮮やかさでスタイリングを盛り上げる。
8 美しいシェイプのピンヒールパンプスを、ゴールドトーンのフリンジで飾り華やかに。
SOURCE:SPUR 2022年10月号「あの人になりたくて」
photography: ISEKI styling: Kanako Sugiura text: Mai Ueno