祝90歳! デザイナー、アルマーニの軌跡をSPURとプレイバック

2024年7月11日は“モード界の帝王”、ジョルジオ・アルマーニの90歳の誕生日! この記念すべき日を祝して、彼のキャリアやブランドの歴史、さらにSPUR本誌のアーカイブからアルマーニの貴重な取材記録を厳選してご紹介。

ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)とは

2024年6月26日、「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」2024秋冬オートクチュール コレクションにて
2024年6月26日、「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」2024年秋冬オートクチュール コレクションにて

スタイルとデザインに関するすべての戦略的決定に、オーナーが直接関与している数少ないメゾンのひとつであるアルマーニグループ。創業以来、その会長兼CEOを務めるのがジョルジオ・アルマーニだ。

彼の偉大な発明といえば「ソフトジャケット」。1970年代、当時男性向けのアイテムであったテーラードジャケットを、女性のために、着心地がよく軽やかなシルエットでデザインして世に送り出すと、瞬く間に世界中の女性たちの心をつかんだ。キャリアを積みたい、知的でありたい、でも女性らしくありたい。当時の働く女性たちの気持ちに寄り添ったソフトジャケットは、社会の変化をいち早く察知し、表現してきた彼の功績を語る上で最も代表的なアイテムとなった。

プロフィール

1934年7月11日に生まれ、イタリア・ピアチェンツァ市で育つ。

1957年、医学の勉強をやめてミラノに移り、大型百貨店ラ・リナシェンテのバイヤーとなる。その後、フリーランスのデザイナーとしていくつかの企業で働く。

1975年、セルジオ・ガレオッティとともにGiorgio Armani S.p.a.を設立。

1980年、映画『アメリカン・ジゴロ』の衣装をデザイン。その後も映画の世界と永続的な関係を築いた。

1981年にはエンポリオ アルマーニを、1991年にはA|Xアルマーニ エクスチェンジを発表。

1982年、『タイム』誌は、ユニークで独特なフィロソフィーとスタイルを軸にした彼の成功を特集。

2000年、アルマーニはアルマーニ/カーザを設立し、彼のシグネチャー・スタイルを建築の世界に持ち込む。ニューヨークのグッゲンハイム美術館はジョルジオ・アルマーニの重要な回顧展を開催し、世界各都市を巡回した。

2005年、初のオートクチュール「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」コレクションをパリで発表。

2015年、アルマーニ/シロスの展示スペースのオープンで会社の40周年を祝い、アルマーニはミラノ万博の特別大使に任命された。

2016年、アルマーニは社会的関心の高いプロジェクトを推進するため、ジョルジオ・アルマーニ財団を設立した。

2020年2月、イタリアでCOVID-19が発生したため、従業員とゲストの健康を守るべく、自身の名を冠した2020-21年秋冬ウィメンズショーを無観客で開催。7月、国連世界観光機関(UNWTO)は、アルマーニを「責任ある観光のための国連世界観光機関 特別大使」に任命。

2021年4月、ミラノ・スカラ座の後援者となる。10月、環境への影響を最小限に抑えることを目的としたイベント「One Night Only Dubai」を開催。

2022年2月、ミラノ・ファッション・ウィーク期間中、ウクライナ紛争に関わる人々への敬意を表し、ジョルジオ アルマーニのウィメンズウェアとメンズウェアのコレクションを音楽なしで発表。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が立ち上げた、避難を余儀なくされている人々を支援・保護するための募金活動への寄付と、サンタ・エジディオ共同体を通じて難民に必要な衣料品の寄付を行った。

アルマーニはそのキャリアの中で、イタリア共和国功労勲章コマンダー、グランドオフィサー、ナイトグランドクロス、フランスのレジオンドヌール勲章など、国内外の賞を受賞している。また、アメリカファッションデザイナー協議会からは、最優秀インターナショナルデザイナー賞と、メンズウェア、アート、ファッションの生涯功労賞を受賞。また、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートから博士号、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインとミラノのブレラ美術アカデミーから名誉学位、ミラノ工科大学から工業デザイン、ミラノ・カトリカ・デル・サクロ・クオーレ大学からグローバル・ビジネス・マネジメントの名誉学位を授与されている。

セレブリティとの華麗なる交友録

ファッションデザイナーと映画の関係を振り返るとき、『アメリカン・ジゴロ』(1980)は欠かせない。劇中でアルマーニを纏ったリチャード・ギアはこの作品が出世作となり、衣装を手がけたアルマーニはハリウッドでも一躍有名に。映画の成功は1980年代後半のアルマーニスーツの流行の発端にもなった。そんな映画界と彼の絆を貴重な写真とともに振り返ってみよう!

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Stefano Guindani/SGP

2019年、ブリティッシュ・ファッション・アワードにて。(左から)ケイト・ブランシェット、ジョルジオ・アルマーニ、ジュリア・ロバーツ、トム・クルーズ、ロベルタ・アルマーニ 

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Courtesy of Giorgio Armani

1996年。(左から)エリック・クラプトン、ジョルジオ・アルマーニ

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Courtesy of Giorgio Armani

1980年。女優・モデルのローレン・ハットンと

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Courtesy of Giorgio Armani

映画監督のマーティン・スコセッシと

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Stefano Guindani/SGP

Armani New York Fifth Avenue ブティックにてレオナルド・ディカプリオと

SPURと振り返るアルマーニ史のハイライト

祝90歳! デザイナー、アルマーニの軌跡の画像_7
1992年3月号

ジョルジオ アルマーニが表紙ルックを飾ったのは、SPUR創刊から3年後の1992年。当時、社会進出を顕著にし始めた女性たちに大きな影響を与えたブランドとして、ミラノ現地取材を敢行。16ページにわたってファッションストーリーと取材記事を掲載した。

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1993年3月号
1994年1月号「SPUR INTERIOR SPECIAL  Giorgio Armani」
1994年1月号「SPUR INTERIOR SPECIAL Giorgio Armani」

その後もSPURでは、特集やファッションストーリーを通してアルマーニのクリエイティビティにフォーカスし、その美学を紐解いてきた。そして2005年、緊急来日にあわせて4日間の密着取材が実現。「ジョルジオ・アルマーニ展」、3ブランド合同ショーの開催、その他取材や各種イベントで多忙を極めた4日間のスケジュールを記録。ハードワーカーかつ“完璧主義者”として知られる彼のこだわりや美を追求する姿勢を捉えた。

SPUR 2005年7月号。「アルマーニがやってきた。東京密着4DAYS」より
2005年7月号。「アルマーニがやって来た。東京密着4DAYS」より

2014年、SPUR創刊25周年特別企画として「エンポリオ アルマーニ」2015年春夏コレクションのショーを取材する読者リポーターを募集。モードが生まれる瞬間を世界中から集まるジャーナリストやクリエイターとともに目撃する貴重なチャンスを手にした2名の読者が、いざミラノへ。アルマーニのクリエーションを間近で体験し、ランウェイからこみあげるエネルギーやファッションのパワーを鮮明に描写したリポートを読者へ届けた。

SPUR 2015年1月号「2015年春夏コレクションで読者リポーターたちは何をみた!?」
2015年1月号「2015年春夏コレクションで読者リポーターたちは何を見た!?」
祝90歳! デザイナー、アルマーニの軌跡の画像_14
2014年4月号

生涯現役を貫く彼は、2014年のインタビュー「直撃! ジョルジオ・アルマーニに100の質問」で、デザイナーという仕事について「この仕事は私の人生そのもの」だと話している。インスピレーションを大切にし、常に新しいクリエーションを発信し続ける彼がモード界をエネルギッシュに駆け抜ける姿からこれからも目が離せない。

SPUR 2016年5月「Giorgio Armani Elegance in Red」
2016年5月号「GIORGIO ARMANI Elegance in Red」