三菱一号館美術館【ビアズリー展】、魅惑のトートバッグ&ミュージアムグッズ

東京丸の内、三菱一号館美術館にて開催中の「異端の奇才——ビアズリー」展に行ってきました!
オーブリー・ビアズリーといえば、オスカー・ワイルド『サロメ』の挿絵で有名な19世紀末のイギリスの天才画家。25歳で夭折した彼の歩みをたどるこの展覧会は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)と三菱一号館美術館の共同企画。
代表作のみならず、少年期の習作から彩色ポスター、出版書籍、晩年のポルノグラフィ的作品まで約220点の大盤振る舞い。ビアズリーの生きた時代に英国様式で建築された三菱一号館というシチュエーションも最高でした。そしてなんといってもグッズが素敵! 散財してきましたよ……。

三菱一号館美術館「異端の奇才——ビアズリー」展、内容もグッズも充実です

三菱一号館美術館 ビアズリー展 トートバッグ 図録 ミュージアムグッズ
ビアズリー展オリジナルグッズ。(右)公式図録¥3,800・(左)トートバッグ¥4,400

近年のミュージアムグッズのクオリティの高さには目を見張るばかりです。特に展覧会オリジナルグッズのデザインには企画した美術館の愛が詰まっていて、あれも欲しい、これも欲しいとついつい購入してしまいます。作品鑑賞直後の感動と、「ここでしか買えない」というレアさに惹かれて財布の紐が緩んだところに、アーティストの魅力と実用性をギュッと詰め込んだグッズの数々。まんまと主催者の企みにハマってしまう仕組み……って人聞きが悪いですね。でもほんと、お話を聞いてみると、どの展覧会でもキュレーターはじめ美術館スタッフが、心を込めて楽しくつくっているのが伝わってくるのです。 

今回の「ビアズリー展」もまたしかり。私は内覧会に伺ったのですが、グッズのセンスの良さに瞠目しました。もともと彼の作品は、ファインアートというより、出版物の装画やポスターのために描かれた応用芸術。グラフィカルだし実用に向いてるのも納得です。読み応えたっぷりの図録の装丁もブルーと薔薇色の2タイプあり、ビジュアルもいい!

 

『イエロー・ブック』のトートバッグは、空前の売れ行きで現在入荷待ちらしい……

三菱一号館美術館 ビアズリー展 トートバッグ 大きさ チャーム ミュージアムグッズ
ビアズリー展オリジナル「イエロー・ブック」トートバッグはたっぷり大きめ。仮面のチャームがついているのもいい!

なかでも買えてよかったのはド目立ちな黄色と黒のミュージアムトート。
『イエロー・ブック』は、1894年刊行の前衛的な文芸誌。ビアズリー自身が構想段階からアート・ディレクター的に関わった、元祖ZINEといえるかも。その第1号の表紙は、世紀末芸術のムードあふれる仮面の男女がモチーフ。展覧会ではモノクロの原画と黄色で印刷された書籍版が展示されています。
こちらのトートバッグは『イエロー・ブック』の表紙デザインを再現したトートバッグで、タテヨコ40cmほどの大判サイズ。黒い仮面のアクリルチャームもセットです。便利だしおしゃれだし、もう夢中。聞けば開幕早々に売り切れてしまい、現在再販の入荷待ちだそう!

『サロメ』の挿画は全点展示。意外なキャラクターもグッズ化!

三菱一号館美術館 ビアズリー展 ポーチ ミュージアムグッズ サロメ 
キャンバスポーチ¥880とアクリルキーホルダー¥1200。出典は、オスカー・ワイルドの『サロメ』の挿絵

ビアズリーの出世作にして代表作は、やはり戯曲『サロメ』の挿画でしょう。舞台作品として上演されたものよりも、ずっと多くの人の心に残っているのは、彼が描いたモノクロでスタイリッシュな場面の数々では? 私も少女時代から、表紙と本文にビアズリー作品がふんだんに用いられた福田恒存訳の岩波文庫版に親しみ、妖しく胸をときめかせたものです。本展ではこの原画も全点展示。好きなシーンは特に近くでまじまじと堪能しました。

今回、『サロメ』名シーンはクリアファイルやマグネットなどのグッズでさまざまに展開されていますが、私が惹かれたのは、こちらのポーチとキーホルダー。王女サロメ、預言者ヨカナーン、分邦ユダヤの王エロドと王妃エロディアス、若きシリア人……魅惑的な登場人物たちの中に、こんな仮面の禿頭のキャラ、いたっけ?

三菱一号館美術館 ビアズリー展 サロメ キーホルダー ミュージアムグッズ
アクリルキーホルダーのモチーフは、サロメのヘアメイクをする仮面の人物

いましたいました。戯曲中の有名なシーン「7つのヴェールの踊り」のために支度をするサロメの姿を描いた『サロメの化粧』の作中に。この絵、大胆な曲線やジャポニスムの影響を受けた調度品の書き込みなど、見どころがたくさんあるのですが、グッズ化されたのは王女サロメにヘアメイクを施す侍童(?)の姿。そこ行っちゃう? そもそもこの絵自体が原作には描写されていない場面なんですよね。何重にもひねったセンスに脱帽です。

このビアズリー展、聞けば、開幕以来、主催者も驚くほどの大盛況とのこと。来場するなら平日夕方や夜間開館日などが狙い目だそうです。私も再訪して、今度は晩年の超絶技巧作品に没入したい。そして売り切れ&入荷待ちのサーモマグなど、心残りのグッズを手に入れたくなってきました……!

「異端の奇才——ビアズリー」展
会期:2025年2月15日(土)~5月11日(日)
会場:三菱一号館美術館
開館時間:10:00-18:00 (祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日、4月5日は20時まで)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし[トークフリーデー : 2月24日、 3月31日]および5月5日は開館
観覧料:一般前売り¥2100ほか
https://mimt.jp/ex/beardsley/

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エディターKUBOTA

幾星霜をこえて編集部に出戻ってまいりました。活字を読むこと、脂と塩気、2匹の保護猫、平和と雑談を愛します。

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