ウユニ塩湖のお土産に塩をもらいました。旅や出張の手土産、私もよく現地の塩を探します。エキゾチックなスパイスもいいけれど、調理法が難しかったり、口に合わなくて使ってもらえないかもしれない。塩ならそういうことはないし、珍しいパッケージもインパクト充分です。
ボリビアの塩は初めて手にしましたが、「湖」「塩」というキーワードに遠い記憶の中から蘇ったのはタムラ。ホワイトベースのコックさんです(正式には司厨長という肩書きらしい)。オデッサ作戦中、貯蔵庫に塩がなくなったといって大焦りのタムラさん、ジオン軍に攻撃される危険を冒してまでホワイトベースは進路を変えシルクロードの塩湖を探し回るのですが、当時はこの人たち、たかが塩のためにな~にやってんだ?とまったく理解できない小学生の私でした。納得できたのは、20年近く後のこと。現場でブラジル人モデルがフラフラと倒れこんでしまったことがあったんです。撮影は中断、寝かせた彼女の顔は疲労で真っ青。なにが欲しいと聞くと「塩。塩をもってきて!」とタムラばりに訴えるではありませんか。スタジオには味の素しかなく、近くのスーパーまで走って購入した粗塩を渡すと、慣れた手つきで彼女はひとつまみの塩を舌の下側に入れたんですね。瞬間、目に光を宿した彼女は不死鳥のように蘇り、スックと立ち上がったのでした。タムラさんが慌てふためいていた理由はこの塩分パワーだったのかと膝を打ったのは言うまでもありません。
ちなみにこのエピソード、あったはずの場所から湖がなくなっているというくだりも子ども心には衝撃でした。湖って歩くんだと真剣に思いましたよね。本編に登場する湖のモデルはウユニではなく、タクラマカン砂漠にかつて存在し、今は干上がってしまった塩湖が下地になっているらしいです。ガンダムって、やっぱりロマンでいっぱい。そして深いです。
おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。