2016.03.12

銀座の苺の物語

心の底までしびれるような甘酸っぱさです。

仕事で頻繁に訪れる街、銀座には甘味トラップがあちらこちらにありましてね。昼食を逃した午後なんか、特に危険です。その代表格が「あけぼの」。ここは開放的な店構えがいけません。そして、いつなんどきも実に感じのいいお姉さんたちがまたデンジャラスです。何も購入せずに通り過ぎたことがほぼないほど、ここにはひっかかる私です。雨の日に駆け込むと、支払いが済んだあとに雨のなかお越しいただきありがとうございます、おひとつどうぞとにこやかになにかしら袋に加えてくれるんです。初めてのときは東京砂漠でこんなことが! 何かに騙されているんじゃないかと体が固まったほどでした。その笑顔が、まったく営業スマイルじゃない。そしていつも出口まで袋をもって見送ってくださる。あけぼの銀座本店の店員さんに接客していただくたび自らの人生を恥じますよね、明日からはこういう人になろうと(すぐ失念しますが)。

春の今だったら、とちおとめが入った銀座限定苺大福から私は逃げられません。店頭にこんな眼福が鎮座しているのを横目に、通り過ぎることができましょうか。断面図も見事ですが、うっすらお餅から、いちばん甘い先端がうっすら透けているのが恥じらい深い乙女の赤面のようでぐっときます。「禁断の苺ファウンテン」と名付け、なるたけ他の出口を利用するようにしていますが、うっかり銀座A1出口から地上に出てしまったらもうアウトです。この苺モニュメント、不思議そうに眺める外国人観光客にほぼ毎回出くわしますが、YOU絶対TRYすべきと銀座の中心で苺大福愛を叫びそうになる衝動を抑えています。

4月までの限定発売です。銀座でひとつ、皆さんもいかがですか。

エディターIGARASHIプロフィール画像
エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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