「知的な香り」と聞いて、どんな香りを想像しますか? 甘い香り、官能的な香り、爽やかな香り、スパイシーな香り。どれも何となく予想はつくけれど、「知的」と言われるとなかなか難しい。
でも、昨年このフレグランスに出合った時に、これだ!と確信し、以来すっかり虜になりました。イソップから発売中のフレグランス「Tacit(タシット)」です。
タシットの意味を辞書で調べてみると、「暗黙の」「言葉に表さない」などとありました。まさに知的好奇心をかき立てられるワードです。
その知的な香りは、非常にモダンでユニセックス。愛用している自分で言うのもなんですが、性別関係なく洗練された人がつけていそうな、スタイリッシュな香りです。かといって、個性が強過ぎるというわけでもありません。まずは柚子のシトラスノートでキリッと爽快に始まり、そのあとに温かみを含んだバジルグランベールがふわっとスパイシーに広がります。そしてラストには、ベチバーの根っこの部分だけを抽出したベチバーハートが、アーシーな深みを残してくれる。色に例えるなら、スモーキーなグリーンカラーが脳裏に浮かびます。
発売されてからまだ半年強しか経っていないのに、早々に一本使い切ってしまいました。ここ数ヶ月は、頭から一日中いい匂いがするヘアオイルだけを使っていたのですが、新緑がまぶしい季節を迎えて、またタシットのスモーキーでグリーンな香りが恋しくなり、最近二本目を購入しました。
香水にありがちな、周りの空気をその香りで染めきってしまうような強い主張がないところも気に入っています。インテリジェントな慎み深さがあるけれど、ちゃんと独自性のある、お洒落で凛とした香り。いくつになっても楽しめる永久保存版フレグランスです。やっぱりイソップの香りは素晴らしい!
ちなみに、使い切った一本目のボトルをどうしようかと悩んでいました。空きビンとして廃棄すればいい話なのですが、毎日使っていたものだから、たとえ空きビンでも愛着が残っていて。ある時ぼんやりとインスタグラムを見ていたら、フォトグラファーのミトグラフさんがアップしていた写真にスクロールの手がとまりました。
使い終わったイソップのボトルを花瓶代わりに。なるほど、その手があったか! というわけで、早速マネしてみようと思っています。今のところ、まだ実行にはうつせていませんが……。
エディターHAYASHI
生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと長いベースソロが好物。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。