そのブラウスは時をかける

2月末のミラノ・コレクション出張における最大の出費といえば、GUCCIのブラウス。とろけるようになめらかなシルクに、古い植物図鑑に出てくるような写実的なタッチでフローラ柄が描かれ、リボンプリーツが華やかに縁を飾ります。現デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレが紡ぎだす今のコレクションは大好きなのですが、これは、“いかにも今”でないところが逆にいい！と思ったんです。母親のクロゼットから引っ張り出してきたの、と言っても、まあまあ信じてもらえそうな、あるいは将来自分がおばあちゃんになっても着られそうな、永続性を予感させます。実際着ていると、「そのブラウス、ヴィンテージ？」と聞かれることも多いんです。

グッチのフローラ柄は、これまでデザイナーがさまざまに解釈を変えて発信してきました。印象的だったのは、前編集長が20年前に買って今でも大切に保管しているという、こちらのショーツ。

当時のデザイナーであるトム・フォードの美学が映し出されたその花柄は、20年の時を経てなお、乙女心をぐっと掴むドリーミーな魅力で溢れていました。
今季買ったフローラ柄ブラウスもきっと、“マイ・ヴィンテージ”となりうる服。ロマンティックなこの一枚を、20年後も30年後もずっと素敵に着こなせる女性でありたい。そんなふうに思います。