ひそかに話題の羽根木エリアで、古着の”新しさ”を知る

前回に引き続き、今ひそかに気になっている羽根木エリアのご紹介です。
新代田駅を降りてすぐのところにある小さなカフェ&ギャラリー「RR」で、美味しいコーヒーと素敵なアートを堪能したあと、そこから奥へつながる緑に囲まれた小道をぶらぶら歩いていました。すると通りがかりに、なんだか感じの良い面白そうな店を発見。「Wasabi-Elişi(ワサビ エリシ)」という、トルコの伝統的な手仕事の品を扱う店でした。

店内の美しいトルコ刺しゅうに見惚れていると、「隣のアトリエで、ヴィンテージショップのポップアップやってますよ」と店員さんの声。これはもう、すました顔でスルーはできませんよね、古着好きにとっては。

熊本市にある「little vintage」というお店で、3ヶ月間限定のオープンなんだとか。店内に並べられている洋服を手にとって見ていくと、どうやらただのヴィンテージではなさそう。くたっとした生地の感触やプリントの色褪せ具合には、確かに古着特有の味があります。だけど、縫製がやけにしっかりしていたり、シルエットもどこかモダンだったり。一着の洋服の中に、古さと新しさが混在しているんです。

聞けば、パターンはすべてオリジナルでした。世界各地でセレクトした古着を、まずは一度分解し、そこからハンドメイドで新たな洋服へと生まれ変わらせるのが、little vintage の掲げるコンセプトです。本来捨てられるはずの服を集めて、手作りで新たな命を吹き込んでいく。「僕らに新しい生地は必要ない」と言い切る彼らの姿勢には、ものづくりに対するロマンと尊さを感じました。

偶然の出逢いに気分もすっかり高まり、購入した1着がこちら。70年代USのナース服の生地を使ったプルオーバーです。ほどよいハリ感と、ヴィンテージならではのくたびれた風合いに惹かれました。身幅の広いビッグシルエットですが、デコルテの開き具合や肩の落ち感が綺麗でメンズライクになり過ぎないところも絶妙です。全面に縫い付けられた円形のデニム地は、当時US軍が使っていたランドリーバッグの底面を切り取ったもの。この独特のインパクトにも心を引っ掴まれました。おまけに裏返しにすれば、真っ白のプルオーバーとしても使えるリバーシブルタイプです。

ふらっと立ち寄ったお店での素敵な邂逅。なかなか奥深いです、羽根木エリア。掘ればまだまだ出てきそうな予感。また、ご紹介します。

little vintageのポップアップは、9/14(水)まで。「ワサビ・エリシ」隣の「atölıye B(アトリエB)」にて開催中です。

“エディターHAYASHI”

エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと長い丈のスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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