改装のため、8/7に一時休業となる渋谷のPARCO。私がリアルタイムで体験していないカルチャーは数えきれないほどありますが、過去は山口はるみさんから、今はM/M(Paris)まで、未だに刺激的な広告ビジュアルをはじめ、若者の文化発信基地だなぁと思います。学生時代にはパルコミュージアムによく足を運んでいたこともあり、ちょっと寂しい。
その地下1階にはパルコブックセンターがあり、こちらにも大変お世話になりました。ファッション雑誌はもちろんのこと、建築からグラフィック、洋書まで。一度迷い込んだらしばらく出て来られない名・迷宮書店でした。上述のような思い出話も胸に抱えつつ、近くでの用事と空き時間があったので、ちょっくら寄ってみよう、と軽い気持ちで足を踏み入れたのですが……。なんと、洋書50〜80%オフのセールが開催中! 胸を躍らせながら食い入るように吟味し、はや1時間。最終的に購入したのは、オランダのアーティストBruno van den Elshoutによる「NEW HORIZONS」というポストカードブック。立ち疲れと、重厚な洋書をテイクアウトする心が折れたという理由も少々あります。
ホテルの屋上から海へとひたすらレンズを向け、定点から地平線を撮り続けた作品群です。それをまとめたアートブックを、さらに14枚のポストカードとしてぎゅっと凝縮したのがこちら。首都高にほど近いところに住んでいるせいか、最近雄大な空や風景にめっぽう弱い。さらに夏にハマる開放的なムードにノックダウンされました。白み始めた暁の空から、燦々とした陽光が感じられる蒼天、夕焼けで真っ赤に染まった海、荒れ狂う波。地平線は変わらずそこにあり続けますが、それでもぼやけたり、くっきりと一文字を描いていたり、刻一刻と趣を異にしている。じっと眺めていると、私もホテルの屋上からこの風景に臨んでいるという錯覚に浸れるため、私の最新デトックス法はこれらの写真をひたすら見つめることです。ああ、1ヶ月くらい海辺に住んで延々と地平線を眺めていたい。ポストカードなので、相手を想いながら風景を選んでみるというのも素敵だなぁと想いを馳せてみたり。「NEW HORIZONS」というタイトルもとてもいい。偶然ですが出合えて(そして半額で買えて)よかったです。この洋書セール、まだ実施中のようですのでこの機会にぜひ訪れてみてください。
さて、パルコ。当たり前のようにあるものがなくなるというのはちょっと寂しいですが、3年半後、渋谷でどんな新しい地平線が見られるのかがとても楽しみです。
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。