モード界の熱い視線を集める、NYのローワーイーストサイドのショップ「マリアム・ナッシアー・ザデー」。自身の名前をショップに冠した、オーナーのマリアムさんのスタイルも注目の的です。ハイブランドと自身のオリジナルブランドや新進ブランドまでを自在にミックス。エッジーでありながら気負いのないオーガニックなスタイルは、まさに今女性が目指したい姿なのでは、と思います。
それはさておき、先日青山で買い物をしていたところ、あまたの品々の中からぐいっと目に入ってくるものがありました。この鮮やかな赤のフラットサンダルです。おまけにクリアなバンドつき。実際に足入れしたヌーディな感じも気に入り、「もう夏物は買わない」という小さな誓いをまたもや破ってしまいました。インソールに刻まれた文字をよく見たら、MARYAM NASSIR ZADEH(マリアム・ナッシアー・ザデー)だったというわけです。
ここ数年、エディターの間で人気なのが、このマリアムのオリジナルブランドの靴。特に春夏のミュールのヒットは記憶に新しいところ。きれいな発色の、どこか懐かしさを感じさせるミドルヒールの靴に、理屈抜きに惹かれるのです。鮮やかな色もクリーンにこなし、ヒール靴でありながらエレガントになりすぎずリラクシングな空気感を醸し出す。靴という小さなアイテムでありながら、本人のスタイルがちゃんと反映されています。
SPUR2016年8月号では彼女にフォーカスした企画を掲載しました。彼女のインタビューによると、初めは自身の好きな本や陶器、家具やアートなどをギャラリーのように配したショップからスタートしたものの、いわゆる“ライフスタイルショップ”ブームの中で、ファッションに方向をシフトしていったそうで、そこがまた時代に逆行していて面白い。「私自身は、どちらかというとドレスアップするのが好き。でもパーフェクトすぎず、どこか抜け感のあるスタイルが好み」と語る彼女の装いには、新しい“華やかさ”、ファッションの楽しさを感じます。人々の関心が服になかなか向かわない、と言われるこの時代。そこをさらに超えていくマリアムさんに注目していきたいです。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。