読書には気力が肝心です。元来の体力のなさも災いし、最終間際の電車に揺られる夜は活字を追う気になれず、キュレーションサイトの文字列をただ眺めています。読書にうってつけの通勤時間なのに!と自己嫌悪。そんな日がしばらく続き、いよいよこりゃアカンなあというとき、気合いの“読書リハビリ”には、短編集や日常の延長線上にある物語など、内容が頭に入りやすい本を選びたい。先日購入した「愛と欲望の雑談」は、まさにそんな存在でした。
本当に気軽に手にできる、いい意味での薄さと軽さ、クラフト紙の装丁に宿るラフなたたずまいがいい。社会学者の岸政彦さんと、SPURでもお世話になっているライターの雨宮まみさんによる対談がまとめられています。恋愛、不倫、コミュニケーションなどなどトピックは幅広く読み応えがあります。女子同士の褒め合いや、“だれかが欲しいものが欲しい”と思う欲望論など、思い当たりがあるポイントだらけ。短い雑談のなかに「自分」を考えるきっかけがたくさん詰まっています。あと超私的な感想ですが、岸先生の関西弁に癒やされます。
というわけで、週末は意識的に厚い本薄い本いろいろを携えて、喫茶店やカフェにこもっています。読書の愉しみはその中身を味わうことにありますが、同じくらい“読み切る”行為に官能性があると改めて思ったのでした。一冊読み切ると活字へのエンジンがかかりますし。この本、「コーヒーと一冊」というシリーズ名も、とても好きです。晴れた日は外での読書も気持ちいいですねー。
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。