どれだけ年月が経っても忘れられない取材があります。その1つが、2012年に画家の藤田理麻さんと行った、インド・ダラムサラへの取材。藤田さんが長年取り組んでいる、チベット難民孤児のための絵本を作るプロジェクトを追いかけたもので、完成した絵本を手渡しにダラムサラへ行ってきました。
ダラムサラは、首都のニューデリーから車で北に約12時間、ヒマラヤ山脈のふもとにある街で、1959年にダライ・ラマ14世がチベットから亡命したことをきっかけにチベット難民が多く移り住み、現在はリトル・ラサとも呼ばれている場所です。ダラムサラでは英語教育が中心で、このままではチベット語が廃れてしまうという危機感のもと、藤田さんはチベット語、英語、日本語の3カ国語で書かれた絵本を製作しています。2001年からスタートし、取材当時は4冊目を出版したばかりでしたが、現地に手渡しに行くのは藤田さんも初めてだったそうで、子どもたちが実際に絵本を愛読している様子は胸に迫るものがありました。
『菩提樹の葉』ミクストメディア、紙 ©Rima Fujita 2016
さて、そんな絵本の6冊目が本年末に出版されるそうで、その原画を含む展覧会『巡礼~魂の旅』が、10月26日(水)から11月1日(火)まで伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリー[TEL03(3225)1111(大代表)]で開催されます。展覧会では、この絵本の原画のほか、今年3月に藤田さんがルンビニやブッダガヤなど、仏教の八大聖地のすべてに巡礼をしたことをきっかけに生まれた作品が数多く出品されています。藤田さんは、文字通り少女がそのまま大人になったようなピュアな感性の持ち主なのですが、聖地への旅を経て、ますますパワーアップしたとのことで、今から作品を見るのがとても楽しみです。どこかオリエンタルで、色にあふれた絵画は、実際目にするとより良さが伝わるので、ぜひ足を運んでみてください。10月29日(土)、30日(日)にはサイン会もあるそうですよ!
物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。