雨の日が楽しみになる方法

「雨ってなんか好きなんですよね」
知人の何気ない言葉がきっかけで、わたしの中の、雨に対する概念が一変しました。
それまで、雨は忌み嫌うべき対象でした。朝起きて雨が降っていたら気持ちがどんより落ち込むし、ロケ撮影の日に降ろうものなら最悪です。旅行だって晴れたほうがいいに決まってます。

しかし、「雨が好き」という捉え方に触れ、そういえば、雨の良いところに向き合おうともせずに生きてきてしまった、雨よごめん、と反省。少しやさしい気持ちで受け止めることにしてみました。たとえば濡れた窓から眺める景色は綺麗で、雨に打たれる木々の葉はいつもより色濃く艶やか。部屋のなかでじっとしているとき、外から聞こえてくる雨音に耳を傾ければ心が洗われます。


そんな日に聴きたい音楽は……と考えてみると、この曲がしっくりきます。チリー・ゴンザレスのアルバム『SOLO PIANO II』(BEAT RECORDS)より「Rideaux Lunaires」。

ポロンポロンと控えめに鳴り響くピアノ音と雨音が溶け合い、静かでまろやかな旋律を奏でます。 雨の日の通勤は、服が濡れるわ、ベタベタするわで大嫌いだったけれど、これを聴きながら歩けばもう大丈夫。いろんなことを許せる気持ちになるのです。 

そして一番好きな香水の名前が、そういえば「Rain」でした。植物由来の成分によって構成されたDAWNというブランドのフレグランスは、どれも人肌になじむやさしいにおい。「Rain」はそのなかのひとつです。


スズランをベースとした透明感あふれるみずみずしい香りで、湿気と混じって濁ることもありません。この香りは確かに、カラッと晴れた青空の下よりも、水たまりのある景色のほうが似合います。今まで意識せずにまとっていたものの、雨の日につけよう!とひとたび決めると、だんだん雨が待ち遠しくなるように。 こんなふうに自分なりの雨の楽しみ方を持つって、いいものですね。

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エディターITAGAKI

ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。

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