ベタなんですが、アディダスを見ると入るスイッチがあって、頭の中をこのフレーズがよぎります。「マイ・アディダス」、Run DMCの’86年の名曲です。
「adidas Originals by HYKE」のこのウィンドブレーカーを見たときもそう。本来はアウトドア、アスレチックという文脈で捉えるべき服かもしれません。スリーレイヤーの撥水素材でポケットも雨を防ぐ本格仕様。そしてHYKEらしく、シャープでモダン、クリーンなムードが漂っています。ヒップホップのそれとは違って、裾が絞られ、ちょっと丸みを帯びたシルエットです。
でも私はこれを見たときなぜか、Run DMCの3人みたいに、イエローゴールドのロープ・チェーンでもじゃらりと首に飾ってジャージ感覚で着たいなあと思ってしまいました。というわけで、久々に「BACK IN THE DAYS」という写真集を引っ張り出してコーディネート研究を開始。ちなみにこの本は、80年代のヒップホップシーンをジェームス・シャバスが切り取ったもの。ファットシューレースのプーマ、シェルトップのアディダス、金鎖にレザージャケット、ジャージetc.オールドスクール・スタイルのグッドな見本がざくざく載っているんです。
でもそのうち、ハタと当たり前のことを思い出しました。そもそも、前提として自分の持ってるムードは全然ファンキーじゃないと。ジャージ上下にムートンコートをはおってこんなにカッコよく決まるような人ではないと。この本、私のおしゃれのバイブルなのですが、そんなわけで直接的にはあまり役に立ちません(笑)。
それを前提にこの本から導き出した結論は、「このウィンドブレーカーを自分のふだんのスタイルの延長として着る」ということです。というわけで何くわぬ顔して、普通にはおって出社しました。編集部のスタッフに「どうしたの、今日部活でもあるの?」と口さがない批評をされたって気にしない。頭の中に80年代調のカン高いビートが聞こえてきました。ここで一句。
Standing on Yasukuni St.
コラボはハイク
握らぬマイク
入稿する 校了する
最高のチームワーク、アディダスと自分
マイ・アディダス×3
学生のころ、バンド仲間に無理やりラップを作らされ、挫折したのを思い出しました。相変わらず、やっぱり才能がないようです。
そういえば、先日のSuchmosのライブにも着て行きましたよ。ATPではないですが。「Suchmosのライブにアディダスを着ていく」というだけで気分が高揚するものです。
そしてやっぱり、首元にロープチェーンは欲しいなと思う今日この頃。いかにもなゴリゴリのチェーンは似合わないので、ちょっとくすんだゴールドの、ボリューム感もほどよいものがヴィンテージで見つかるといいな、と思って探しています。
最後にまた話は戻りますが、発売中のSPUR12月号「フリーSTYLINGダンジョン開幕」なる企画。私のよりはるかに出来のいいラップにのせてスタイリング・バトルを繰り広げています。ファッションをラップで綴るという斬新さに加えて、見ごたえもあります。ぜひ読んでみてください。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。