いい時計は、時間を追う喜びを教えてくれる

この腕時計を着けるようになって、約1年が経ちました。はじめて展示会でこの「スリム ドゥ エルメス」を目にしたとき、そのミニマルで静謐なルックスにトクンッ……と胸が高鳴り、そのうえ先輩から「なんだか知的に見えるわね」なんて言われて舞い上がってしまい、発売後すぐにファースト・ウォッチとして購入しました。

思春期の頃から携帯で時間を確認する習慣が染み付いていたので、それまで腕時計の必要性を感じたことも、欲しいと思ったこともありませんでした。しかしそれは、ときめきウォッチに出合っていなかったからだと実感。左腕を眺める仕草で、こんなにもハッピーな気持ちになれるものなんですね。フィリップ・アペロワによってデザインされた可視性の高いインデックスはモダンで美しく、上質なレザーストラップは最上の着け心地。薄型ムーブメントによって実現したスリムなケースも繊細さを際立たせています。この時計には、腕元でそっとその人の佇まいを底上げするような、シンプルな強さが宿っているのです。

確実に高揚感をもたらしてくれるから、時間をチェックするのが楽しみにすらなる。今まで時間に追われる感覚で慌ただしく生活していたけれど、この腕時計を身に着けるようになって、「時を追いかける贅沢」を知ることができました。