モランディの色

先週末、東京ステーションギャラリーにて催されている個展「ジョルジョ・モランディ―終わりなき変奏」に足を運びました。

20世紀に活躍した画家、ジョルジョ・モランディ。作品を生で見るのははじめてでした。

配置や角度を変えながら、同じモチーフが繰り返されています。その対象にひたすら向かい合いつづけるという果てのない作業が生み出す静かな迫力。まず私は、そんな絵が並べられた壁面を前に「よくこんなにいっぱい描いて……」というなんとも素人感丸出しな気持ちになってしまいました。描かれているものは静物、壜やおもちゃ、ポット。同じものですが、まじまじと絵を眺めるとその塗り方や筆致、色のニュアンスの絶妙な違いが感じられて、そんなディティールに実に没頭できます。特にモランディらしい、くすんだトーンの色の渦がたまらない。私が見たものを頭の中でそぎ落として、落としこむと、こんな色は残るのかしら。

わりと長い時間かけてゆっくり見終えたあと、思ったことのひとつは、私は理屈抜きでもランディの描き出す色が好きだ、ということ。ぐーっとファッションの話にもっていきますと、思えばこの冬着倒しましたAcne Studiosのプルオーバーは、まさに珊瑚色というか、くすんだピンク。babacoのニットブラも、まろやかなブラウンのコンビネーション。

他にも、グレーやベージュにも本能的に惹かれます。身に付けるものにモランディの色彩がみえるようで、よりいっそうこんな色みが愛おしいこの頃です。(エディターSAKURABA

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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