「恰好いいフェミニン」。
矛盾した言葉かもしれませんが、これを体現する女性がいます。発売中のSPUR3月号で紹介しているジェーン・メイルです。
モードと女性らしさ。この二つはいつもせめぎ合う。モードの根本は既成概念を覆して新しいスタイルを生み出すこと。世間から(往々にして男性陣から)押し付けられる「女性らしさ」から解放されようとするあまり、わかりやすい「フェミニン」は避けられがち。スカート、ワンピース、ひらひらしたもの、ふわふわしたもの。女らしい服をまとうのはちょっと小恥ずかしいというムードすらあります。特にここ数年は、ノームコアやマニッシュなスタイルのブームもあり、スタイリッシュな女性ほどボーイフレンドとお揃いの出で立ちで街を闊歩しています。
そんな状況で「やっぱりフェミニンな服が好き」と密かに思っていた私でした。あっさり顔なのでメンズライクな服を着ると味気ない人に見えてしまうというのもありますが、女らしい服に惹かれる理由は、ときめくからという直感的なもの。ですが背が低いという事情もあり、こういった服を着ると甘く見えがちなのが難しいところ。そんな私のジレンマを解決するべくインスピレーションを与えてくれるのがジェーン・メイルのスタイルなのです。彼女は’90~'00年代にNYでカルト的な人気を誇った「メイル」のデザイナー。しばらくお休みしていたブランドを2016-'17年の秋冬から「メゾン・メイル」として再始動しています。
実は私のクローゼットに眠っているニットがあります。ここ数年のムードの中で着る勇気が出ず、しかしデザインやシルエットが好きすぎて捨てられなかったのがこちら。まさに「メイル」のニットでした。
さらに昨年秋にNYのバーニーズを訪れた際、呼ばれている気がして思わず手に取ったワンピースが「メゾン・メイル」でした。早速試着したところサイズもぴったりで即購入。「やはりジェーンは私の師匠」と勝手な思い入れが加速し、彼女のスタイルを真似てロングブーツを合わせてみたり。例のニットも引っ張り出しました。
彼女がすごいのは、休止していた間に自身で作った「メイル」の服をずっと着ていたということ。このアーカイブと今の「メゾン・メイル」をミックスしたジェーンのコーディネートをぜひ誌面でご覧いただきたい。エレガントでモダン、凛としたフェミニン・スタイルは、まさにタイムレス。世の中がどうであれ、ブレない。そのアティチュードこそが、ジェーンのフェミニニティに「強さ」を与えているんだと思います。自分に欠けているのはここ。トレンドや周囲にかまわず、自分の好きな服を着る。ミーハーに彼女のスタイルを追いかけるだけでなく、その本質をちゃんと見習いたい。そう思う今日このごろです。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。