デヴィッド・ボウイが教えてくれた音楽

久しぶりにブルーノートに行きました。Donny McCaslin(ダニー・マッキャスリン)率いるグループのライブ。メンバーはダニーの他にMark Guiliana(マーク・ジュリアナ)、Jason Lindner(ジェイソン・リンドナー)、Tim Lefebvre(ティム・リフェーヴレ)。つまり、デヴィッド・ボウイが生前最後に残したアルバム「★(ブラックスター)」の主要メンバーです。

彼らは最先端のエッジーな音でジャズ界をリードするミュージシャンなのですが、かなり遅ればせながら、私は「★(ブラックスター)」ではじめて出合いました。特にマーク・ジュリアナの、「これって人力なの!?」と思わせるマシーンのように複雑で硬質なドラムには衝撃を受けました。というわけで、百聞は一見にしかず。このライブは絶対に逃してはいけないと、音楽ライターのA氏と早めにブルーノートに入り、ドラム右横のシートにピタリとつけました。

リーダーでサックスのダニーがニコニコしながら入場してきて、「日本でプレイするのはとても光栄です」と消え入りそうな優しい優しい声でささやきました。アルバムのカバーのライダースジャケット姿から、「ロックスターのようなサックスプレイヤー?」とイメージしていたのですが、全然違う(笑)。マークはシャツにデニム、カーディガンにめがねの学生のような出で立ちでモサッとドラムに座りました。と、思いきや始まる超絶プレイ。特にマーク・ジュリアナのひとつひとつ、1mmのブレもなくタイトにストロークを置いていくようなドラミング。人間的な「揺らぎ」が一切ない緻密さですが、なぜかそれがとても気持ちよく自分の中に「パスッパスッ」と響いてくるんです。気がつくとあんぐり口が開いていて、それに気づいてはあわてて口を閉じ、また開いての繰り返し。大げさではなく、その場にいた皆が終始圧倒されていました。

ベテラン音楽ライターのAさんでさえ、「どう形容していいかわからない」という型にはまらない音楽。もはやみんなが思う「ジャズ」のイメージは片鱗もないし、これが夜の深い時間にアンダーグラウンドなクラブで響いていてもおかしくない。ですが当の本人たち、特にダニーは気負いもまったくなく、「演奏できてうれしい」と言わんばかりにニコニコ、ニコニコ。このギャップに、私とAさんはすっかり参ってしまいました。

もともと、人間らしいあたたかみのあるグルーブやソウルフルな歌声が好きなのですが、このライブ後は完全に聴きたい音が変わってしまいました。最近はダニーのアルバム「Beyond Now」に加えて、マーク・ジュリアナやバッファロー・ドーターのシュガー吉永にマニー・マークが参加しているHalo Orbitの新しいアルバムもヘビロテしています。Halo Orbitは2月22日から24日まで,JAPAN TOURを行うようですよ。マーク・ジュリアナの神プレイをぜひ生で!

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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