ふと気づけば渋谷で路頭に迷っている。ということがよくありました。たとえば打ち合わせと取材の間や、女友達とのショッピング後など。頻繁に訪れる地ではあるものの、何故か「ええと、どうしよっか」というシチュエーションに陥りがちなのです。年々人混みが辛くなってきており、できるだけ喧騒からも遠ざかりたい。でも駅から離れ過ぎたくない。そんなワガママの極みを満たしてくれる、ひと休みスポット。なかなか理想の地にたどり着けなかったのですが、ここを知ってからは違います。
渋谷ヒカリエ 5Fの「茶庭 然花抄院(さてい ぜんかしょういん)」。京都に本店を構える甘味処です。本店は、元禄十三年に建立された風情ある町屋だそう。このお店も、駅周辺とは思えない落ち着いた趣ある内装です。時間帯によっては混み合うのですが、スムーズに入れるときも。私は中途半端な時間に訪れることが多いのか、今まで並ばずに入れています。お気に入りの席は窓側のカウンター。目下建設中の渋谷駅周辺の模様が一望できて「東京オリンピックが近づいてきているぜ……」という謎の感慨にふけることができます。クレーンのダイナミックな動きを眺めているだけで、何時間か過ごせる自信があります。そして肝心のスイーツメニューなのですが、もちろんどれも大変美味しいです! 私がとある日に注文したのは、春限定の「桜芭絵(さくらばふえ)」。桜カステラに、桜の寒天。桜のクリーム、ちいさな桜のメレンゲに桜のソース……という淡いピンク三昧。目にも美味しく、ほのかに甘い春気分を堪能しました。鉄瓶に入った熱々のほうじ茶と、お茶うけとともにいただきました。帰りには、レジ横で販売されている看板商品の紙焼き「『然』かすてら」をお土産に。このカステラがまた、しっとり上品な味わいなんです。京都店とヒカリエのみでしか買えないので、手土産にも喜ばれるかと。
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。