最近仕事の息抜きに眺めている、Christopher Herwigというフォトグラファーによる写真集「SOVIET BUS STOPS」。彼がロンドンからサンクトペテルブルグまで自転車で移動した際に気づいた、荒廃した道路の上にぽつねんと佇む異様な建築物。それらは、なんとすべてバス停なのです。10年以上の月日をかけ、旧ソビエト連合国ののべ14カ国にわたって収集された「バス停」たちは、なんだか新手の宇宙人か巨神兵みたいな風体です。手がけたのは地元の芸術家たち。だから国ごとでも、まったく造形が違うのも面白い。確かに芸術は爆発ですよね、という自由奔放なデザイン。広大な砂漠の地に、ガウディばりにタイルが貼られた城のようなバス停がただそこにある光景は、大変シュールです。嘘みたいな曲線を描く屋根など、あの日本の簡素なバス停の概念を覆される。淡々とその風景が写真に収められているのもいい。難しい歴史的背景を抜きにしても、ぱらぱらめくっているだけで奇妙な気持ちになれる一冊です。いつか行ってみたい……。
エディターSAKURABA
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。