もらって嬉しいサンキューギフト

「本当にありがとうございました!」と他部署の後輩が、わざわざ編集部のデスクまでやってきて私に言ったとき、はて、なんのことやらと正直思ったのです。少し前に、編集部に落ちていた指輪を拾って、社内の遺失物の係に届けたのを思い出すまで、たっぷり30秒はかかりました。後輩の説明によると、私が拾ったのは彼女の結婚指輪で、もう夫に内緒で買いなおすべきかと途方に暮れていた彼女の手元に無事戻り、そのお礼に来てくれたのでした。 

こちらとしては、たまたま拾っただけなのでお礼など予想しておらず、むしろ、普段あまり接点のない他部署の後輩と久しぶりに話ができて得をしたくらいの気持ちでいたのですが、後日、再び彼女が素敵なブルーの包みを手に編集部にやってきました。 

夏休みにロンドンを旅行したので、と渡されたのはスマイソンのパナマノート。いやいやいや、本当に何もしてないからと恐縮しつつ、旅行のおみやげ風にこちらの心理的ハードルをさげるさり気ない渡し方と、リボンのかかったスマイソンブルーのパッケージの可愛さに負けて、ありがたく受け取りました。 

100年以上の歴史をもつ英国ブランドの定番アイテムとして、よくよく知られたノートですが、自分で持つのは初めて。世に「定番」と呼ばれるものって、他人が使っているのを目にしたり、あるいは、いつかはと長年思ったりしつつも、実は、結局持っていないことがありますよね。だから贈られると嬉しい。贈り物にはよき定番を、という法則はこういうことか!と膝を打ったわけです。 

ラムレザーの表紙は鮮やかな発色なのにとても落ち着いた雰囲気で、「LIVE, LOVE, LAUGH」の刻印がチャーミング。スマイソンの特徴であるブルーの紙は滑らかで軽く薄く、グログランリボンのブックマークが絶妙に可愛らしい。一言でいえば、アガる! ド定番だからと知った気になっていたけれど、実際に持って初めて分かることがいっぱいです。しかも、偶然なのかリサーチの結果なのか、グリーンは私が小物類で一番好きな色。ギフト上手な後輩の見立てに、すっかりメロメロになりました。彼女を見習って、次は自分も「定番」を贈りたいと考えています。

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エディターIWAHANA

日々、モード修行中。メンズとレディースを行ったり来たりしています。書籍担当。どうぞよろしくお願いします。

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