ある日、編集部の数人で夕ご飯を食べていた時のこと。後輩が突然熱く語り始めました。「知ってますか?『恋愛呼吸』っていう本があって、その通りにすると彼氏ができるって、今話題なんですよ!」 聞けばこの本では呼吸をしながら「男がほしい!」と念じたり、声にだして宣言(?)したりする、という独自の呼吸法を紹介している……、らしく、さらには実践した人には次々と彼ができた!とか、結婚できた!という類の幸せな結果が出ているらしい、のです。「呼吸で人生変わるだとぉ……??」その内容を若干いぶかしく思いつつも、ふと「そういや、うちにも呼吸についての本があったっけな」と、思い出した本がありました。それがこの『呼吸の本』です。ずいぶんもの間、自宅に乱雑に積み重ねられた本の中に埋もれていたのを、このたびひっぱりだしました。
この本には「呼吸」と向き合うことで見えてくる、宇宙観とか自然との向き合い方、人生哲学なんかが1問1答形式で掲載されていて、あっという間に読めました。結局は人生なにもかも、心の持ちようなんだな、と。そしてそれは健康にもつながるようです。そして、読了と同時に、3年ほど前に取材させていただいた谷川俊太郎先生の姿がふっと思い浮かびました。初めてお会いした先生は、肌つやもよく、動きもきびきびとされていて、見るからにはつらつとしてらっしゃたので、取材の最後に思わず私は「何をしたら先生のように元気でいられるのでしょう?」と聞いたのでした。そしたら、「呼吸だね」と、ひと言。そして私にこの本をくださったのでした。当時頭のどこかに「ただの呼吸で健康になれるなんて!」と思い込みがあったのか、いただいた本にさっと目を通しただけで終えてしまっていたのですが(すみません……)、これが今になると妙な説得力をもって迫ってきます。
ちなみに、冒頭で紹介した『恋愛呼吸』という本は、『呼吸の本』の谷川先生との共著者でもあり、「呼吸の先生」として同書に登場する、加藤俊郎さんの著書でした(こちらは服部みれいさんとの共著)。時を経てついに呼吸と向き合うときがやってきた!まるで『呼吸の本』がこのタイミングを待っていたかのように目の前に再び現れた!とばかりに気持ちが盛り上がって、普段はほとんど意識をしたことがなかった呼吸が今、俄然気になり始めています。この中に紹介されている丹田とか肛門もほとんどその存在を意識したこともありませんでした。今まで気にもかけなかったからだの部位や行為に気持を向けることで、なんだか新しい境地が開けてくる気がしてワクワクしてしまう私は、単純なんでしょうか。
主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。