「奥能登」あるいは「石川県珠洲市」と聞いて、どこを思い浮かべますか?私は正直どこなのかピンときませんでした。現在、「奥能登国際芸術祭」が行われている珠洲市は、能登半島の最先端にある町です。最後に載せたガイドブックのカバーをぜひ見てみてください。現代の感覚では「日本列島のはじっこ」のイメージが強いですが、視点を陸路から海路に切り替えると、かつて中国大陸や朝鮮半島、あるいはさらにその先へとつなぐ交通の要衝だったことが容易に想像できます。古来、交通と様々な文化の交差点であった歴史的背景もあってか、独特な風習やお祭りが今も受け継がれている珠洲市。実際に行ってみると、移り変わる時代の中で、すっかりその奔流から取り残されてしまったかのような小さな町でした。でも、そこがいい。昔ながら田園風景や、昭和風の銭湯や建物、廃線路や廃車両が、時がとまったかのようにそのまま残っていて、地域色豊かなこの町の味わい深さにすっかり魅了されてしまいました。
普段はとても静かな町なんだろうな、と想像されるそんなのどかな珠洲市が、今回初となる国際芸術祭をきっかけににわかく熱くなっています。珠洲市を代表する景勝地「見附島」や、前述した独特の古い建物や廃線路、廃駅に大がかりな作品が設置され、かなりインパクト大。アートを鑑賞しながら、奥能登の絶景、そして素朴な暮らしの風景に出合えるとても個性豊かな芸術祭でした。
レンタカーがあった方が便利なのは言わずもがなですが、私のようなペーパードライバーの方には「すずバス」というバスガイドツアーとレンタサイクルがおすすめ。ツアーのガイドさんは地元のおじいさん。芸術祭をきっかけに活気づく地元のことを熱く語るその姿をみて、いいなあ、としみじみ。
「奥能登国際芸術祭」は今月22日まで。芸術祭をきっけに地域が盛り上がるのはとても喜ばしいことですが、どうかこれからも素朴な町のままでいください、と心の中で静かに合掌しました。
主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。