前回、前々回につづき、夏に旅したフィンランドの首都ヘルシンキのお話を。今回は、ヘルシンキで感じたちょっとした不思議をご紹介します。
地元で大人気の“マズい”飴
その飴、「サルミアッキ」のことは、とあるガイドブックに“マズい”と書かれていて気になっていたのです。編集という職業柄、さすがにその言い方は失礼ではないかとか、校閲ガールと喧嘩しなかったのか、とか。しかし実際にサルミアッキを口に入れた瞬間、うん、まあ、確かに(笑)。塩化アンモニウムとリコリス(甘草)という成分からして強烈で、しいていうなら、しょっぱ甘苦臭い味。いつどんな気分で食べていいのかわからない。ところがこのサルミアッキ、現地ではチョコレートやキャンディと並んで大量に売られている人気菓子。しかもパッケージが抜群にかわいい。ルックスはおみやげにもってこいなのですが、残念!
ザリガニのことで頭のなかはいっぱい
フィンランド人の夏の楽しみといえば、ザリガニパーティー。屋外に集って茹でたザリガニを食すのが習慣です。旅行中、スーパーマーケットに入れば、一番目立つ位置にザリガニ用の香草や付け合わせの食材がずらり。隣の店にはザリガニ柄の食器。紙エプロンには、ハサミを掲げたザリガニがにこやかにザリガニを食べようとしている絵が。老舗パン屋さんのショーウィンドウも、ほら写真のとおり。街中から伝わるザリガニに浮かれる気持ち。日本の桜シーズンみたいなイメージでしょうか。もとはスウェーデン発祥の文化だそうで、日本ではイケアが夏季限定でザリガニメニューを提供しています。
潮の香りがしない
ヘルシンキはカモメが舞う海辺の街。でも不思議と磯の匂いはしません。それは、バルト海の塩分濃度が低いから。しかも内海なので海面は穏やかで朝などはまるで湖のようです。そして、フィンランド人はサウナのあと湖や海に入ってクールダウンすることが有名ですが、湖はとにかく海って? そう思って私も地元の人に倣いサウナから海にダイブしてみたら、肌はベタつかず、さらさら! 日本の海とは全然違う。ただし勢い余って海水を飲んでしまい、さすがに磯の味がしました。
改札がない
電車や地下鉄に改札がありません。先にチケット(交通機関の共通カード)を買って、持っていれば良いというシステム。駅についたら直接ホームに行き、乗り、降りて駅から出るだけ。性善説なのかなんなのか、悪い事をしていないのに意味なく緊張します。ときどき係員が検札に来ますが、毎回ではありません。ちなみに滞在中、無賃乗車でつかまった人を一人だけ見ました。罰金は80ユーロ。
ほかにも、携帯電話のデータ通信が劇的に速い(さすがノキアを生んだIT先進国)、ピクトグラムがかわいい(北欧デザインになごみます)、出会いの挨拶「やあ」はフィンランド語で「もい」だけど、響きが可愛いからといって「もいもい」と二回言うと「バイバイ」になる、など。楽しい驚きに満ちたヘルシンキ、次の旅行先にオススメです。
日々、モード修行中。メンズとレディースを行ったり来たりしています。書籍担当。どうぞよろしくお願いします。