それは思い返すと一目惚れでした。ラックにかかっていたStella McCartneyのふわふわピンクコート。一度は手に取ったものの「やっぱり派手かも……」「安い買い物じゃないし、特にアウターは長く使える落ち着いた色みがいいのかも……」と逡巡した挙句、そっと戻してしまったんです。ただ、数日経ってもその色みや手触りのすべてが脳裏に焼き付いて離れない。例えて言うなら、エスカレーターで一瞬すれ違ったカッコいい人が忘れられないような気持ち(笑)。一度手離してしまったものだからこそ、じわじわと欲望が膨れてゆきました。けれど今冬のショッピング予算や、どピンクなんて長く着られないんじゃないか?と考え出すと勇気が出ず。優柔不断な性格なので先輩や友人に相談しまくりました。「数年後着られるかわからないし」とぐじぐじする私にくれた「今しか着れないものにお金を払うのがファッションじゃない」という友人の名言が深く刺さったこともあり(笑)、ついに購入を決めました。
決心してからはすぐ百貨店に走り試着。日本に入荷されている36サイズだと大きかったので、海外で取扱いのある34サイズを捜索することに。オンラインをひたすらサーフィンした結果、ついに名前も初めて見る小さな海外通販サイトで見つけたのです! しかもなんと、ちょっとだけセールにもかかってるではないですか! 見つけて秒でポチりました(今までで最高額の即ポチでした)。待つこと2~3日、ついにDHLで一目惚れのお相手が到着したのです。
箱を開けてこんなにうきうきしたのは久しぶりでした。また会えたねー!という感慨すらあります。Stella McCartneyのアティチュードを象徴する「FUR FREE FUR」のタグが袖口に大胆に配されています。着心地は軽くあたたか。派手なことは派手なのですが(笑)ニュアンスのあるピンクなので“強い女”になりすぎない。今年は家具や家電にかまけてファッションの大物買いをしておらず、やっと冬がやってきたぞ!という気持ちになりました。普段からズボラな性格ゆえソファの上に服を積み重ねてしまうような人間なのですが、このコートは大事にハンガーにかけてケアしています。大好きな洋服を着ると背筋を伸ばして外を歩きたいし、色んな人に会いたくなるし、なんならこうしてマメにもなれちゃう。その作用は本当に本当に偉大だな、とこの買い物で改めて身に沁みました。ということで、この冬はピンクの多幸感に包まれてほくほく過ごしています。
好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。