「3月号は全モデルカットを笑顔で撮りおろしてください」そのような指令がくだったとき、正直少し戸惑いました。いやぁだって、笑顔ってすっごく難しいんです。正直、むすっと不機嫌な顔で撮った方がかっこよく決まりやすいですからね。でも、悩みながらも全カット笑顔の撮影を終え、一冊にまとまった今月号を頭からおしりまで読み終えた時、ほわんとあったかい気持ちで満たされていることに気づきました。多分その時、私自身の口角も上がっていたはずです。笑顔の力ってすごいんですね。
ところで最近こちらのコヨーテ ニグロのリングを買いました。オールシルバーのどっしりとした存在感です。お店で指にはめてみると、急にこのかたちが、にんまり笑う口もとに見えてきてしまったんです。「もしかしてこれ、スマイルモチーフですか?」「違います、特にモチーフ由来はありません」とLAILA TOKIOのスタッフの方には即座に否定されたものの、私にはどうしてもそれが、口角をキュッとあげた幸せそうな微笑にしか見えなくて。迷わず購入を決意したのでした。
人によって傷つきやすさの感度は違います。何があっても動じない鈍感力が賛美される世の中だけど、そうなったら人の痛みにも鈍感になってしまうし、感受性も死んでしまう。だからいちいち傷つく自分を変えなくてもいいかなぁと最近は思います。そんなときには無理矢理にでも口角を上げて心を落ち着かせよう。そうやって気持ちを前向きにスイッチできるボタンが、日々身につけるジュエリーであることは、すごく素敵じゃないですか? 私のアクセサリーボックスには、こんな言い訳で買ったものばかりが増えてきてしまってます。
ファッション、ビューティ担当。音楽担当になったので耳を鍛えてます。好きなものは、色石、茄子、牧歌的な風景。