石田ゆり子さんのフォト&エッセイ『Lily ――日々のカケラ――』(文藝春秋刊)が来る1月30日に発売されます。全編撮り下ろし、書き下ろし。21編のエッセイとロングインタビューなど読み応えたっぷりの内容です。
石田ゆり子さんには以前、SPURの特集で、ヒグチユウコさんとのコラボレーション企画の際にお会いする機会がありました。ちょうど『逃げ恥』最終回の後だったので、私は心の中では「ゆりちゃぁぁぁ~ん」と勢いよく飛びつきたいのをおさえ、「自称・プロの編集」として仕事に集中。撮影現場はおだやかで、石田さんがいらっしゃると、まわりの空気が心地よく整うような、つまりはドラマやインスタグラムから想像する通りの素敵な方でした。
撮影後の編集部への道すがら「ああいう大人になりたい」「いや、もう自分もいい大人なんだけど」とスタッフと興奮気味に言い合って。次に湧いて来るのは、あれだけ素敵なのは、なぜなの〜〜⁉︎ という疑問。
その謎を解くカギは、石田さんの書く文章のなかに、あると思うんです。例えば、ほぼ日で連載されていた『はなちゃんの夏休み。』(※愛犬はなちゃんの手紙という体裁の文で、石田さんはばあやとして登場します)。そのなかの一節。
おとなになるってどんなこと? ってばあやにきいたら、
「ごきげんでいることよ」
といいました。
石田ゆり子著『はなちゃんの夏休み。(ほぼ日ブックス)』(東京糸井重里事務所刊)
ほぼ日の過去記事「はなちゃんシリーズ。」はこちら
この文を読んだときには、3秒くらいキュッと呼吸が止まりました。それから吐く息がふぅぅぅぅぅぅと。衝撃です。ビックリです。秘密の舞台裏を垣間見た気がしました。確かに機嫌がよければ、周囲も本人も嬉しい。でもいつも機嫌がいいって、自分で自分を自覚的にコントロールしないと、できないですから。
新刊『Lily ――日々のカケラ――』もまた、そうした石田さんの言葉に溢れています。
読んだ一番の感想は、石田さんがどうして素敵なのか、というみんなが知りたい秘密をこんなにストレートに全部書いてくれて、いいんだ!という驚きです。好きなもの、影響を受けた本、年をとること、仕事への向き合い方、20代、30代のこと。毎日の暮らしのなかで石田さんが大切にしていて、石田さんをかたち作っているものが、本当に素直にストレートに語られています。ありがたいな~としみじみ思う。知っていることを惜しまずに教えてくれる職場の先輩みたいな、ありがたさ。
ほかにも、お気に入りの料理のレシピや愛猫ハニオとタビの成長日記、103問ものQ&Aなど、ページをめくるたびに楽しい発見が。ハニタビと雪ちゃん、ビスク先輩もそろったシールも見逃せません。ファンの方はもちろん、素敵な大人になりたいと思う人に、オススメの1冊です。
日々、モード修行中。メンズとレディースを行ったり来たりしています。書籍担当。どうぞよろしくお願いします。