伝説の写真集の復刊に、泣く

2008年に出版された伝説の写真集『HAPPY VICTIMS 着倒れ方丈記』が、10年の時を経て復刊しました。胸アツです! 都築響一氏が1999年から2006年にかけて『流行通信』誌上で連載していたものがまとまった一冊。一つのブランド、デザイナーに心酔し、住よりも、食よりも、何よりもファッションにお金をかけていた人々“HAPPY VICTIMS”が85人も登場しています。連載当時はまだファッション誌に勢いがあってファッション熱がふつふつと湧き立っていた頃。今思えば、ファスト・ファッションが上陸する前夜の煌めきが詰まっています。

ファスト・ファッションも私たちの生活になじみ、このタイミングで復刊したことになんだか意味を感じてしまいますが、今見ても、いや、今見るからこそ、ファッションへの愛に生きていた彼らの一瞬がとても尊く思えます。純粋無垢なファッション愛。それは私がかつて渇望していたもので、憧れていたものだけど、時代とともに、薄まってしまったもののように思えて、ページをめくる度にあの頃の情熱がよみがえり、胸が熱く、目はウルウルしてきます。

とくに、クリストファー・ネメスを着はじめて16年という男性のページで「身体に合う服はあるけれど、自分の心に合う服はこれしかない」というメッセージに、そうだよ、そうなんだよ、モードって!と膝打ちしまくり。ファッションに元気がない、なんてボヤキが聞こえたり、聞こえなかったりする今日この頃ですが、やっぱり、ファッションが好きだし、そのパワーを伝えていきたい!と仕事への意欲が湧いてくるのです。

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エディターKINUGASA

顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。

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