遅くやってきた夏休み、印象派の画家にゆかりあるマナーハウスの一室に宿泊することになりました。そこから歩いて30分ほどのところにあるのが、港町Honfleur(オンフルール)。愛らしいカルーセルがランドマークとなっている、小じんまりとした町です。ノルマンディーらしい木組みの家が立ち並び、サント・カトリーヌという木製の協会もあります。
夕暮れにそぞろ歩きがてらレストランを探したところ、これまた「木」にまつわる名前のが一軒。「L’HOMME DE BOIS」(木の男)という名を掲げたその店には、ローカルがどんどこ入っていきます。店の上方にある美味しそうなロブスターの絵も決め手となり(笑)、足を踏み入れてみました。
ファイヤープレイスを取り囲むかたちで席が並び、木の節や自然な曲線を生かした梁や柱がいい意味で「田舎」的なムードを醸し出しています。机の上にはお約束のりんごが盛られ(もちろん食べてもOK)、ノルマンディー・スタイルの寛げるビストロといった風情でしょうか。何故かBGMはジェームス・ブラウン。
私がオーダーしたのは、ノルマンディー特産のあたたかいカマンベールチーズがのったサラダとクリームソースのムール貝。ちなみにご当地のカマンベールは、日本で食べるものよりかなり癖があり、たくわんのよう。クリームソースはまろやかだけどサラッとしていて、バケット一杯盛られたムール貝を食べる手が止まりません。
ちょっとお手洗いへ、と席を立ったところどこからか「トイレは2階です」と日本語が。今見渡す限りアジア人は自分たちだけのはずなのに、と思い振り返ると後方の席のご夫妻でした。「自分たちはイギリス人ですが長野にも30年以上住んでいます」と話す彼らは、オンフルールをよく訪れるそうで(ノルマンディーはイギリスに近い)、「こちらは、私たちがオンフルールでいちばん好きなレストランです」とのこと。
そんな彼らのおすすめで、ノルマンディーらしいカルヴァドス+チーズの盛り合わせにもトライしました。りんごブランデーの喉の奥までカーッと来る辛さと、チーズのくさみが混じり合うとアラ不思議。今この瞬間、アミノ酸が発生したのかしら? と思うほどマイルドな旨味が口の中に広がります。これ、癖になりますね。
気取ってなくて居心地よく、どの料理も美味しくてノルマンディーらしさもたっぷり堪能できる。ちなみに私は6歳の子連れでしたけど、キッズメニューもありましたし、そういった意味でもオススメです。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。